オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ポラロイド』

Polaroid, 88min

監督:ラース・クレヴバーグ 出演:キャスリン・プレスコット、タイラー・ヤング

★★

概要

殺人(鬼の)カメラ。

短評

ポラロイドカメラで写真を撮られたら死ぬ」という都市伝説的な内容のホラー映画。元ネタはロッセリーニの『殺人カメラ』か。これは「撮られたら~」という“シチュエーション”こそが重要なはずなのに、“実行者(=悪霊)”の方が前に出すぎて凡庸な一作に終わってしまっていた。「カメラの謎を解明して惨劇を終わらせるぞ」の“推理パート”がつまらないわけではないものの、残念ながら怖くはない。

あらすじ

カメラ(ペンタックスフィルムカメラ)が趣味の陰キャJKバード(キャサリン・プレスコット)。友人ケイシー(サマンサ・ローガン)に連れ出されて参加したパーティーで、彼女がバイト先のアンティーク店で同僚から貰ったポラロイドカメラSX-70”を使っていると、警察がやって来て「同僚が死んだ」と告げる。死んだ同僚はポラロイドカメラの試し撮りをした相手であり、その後も、パーティーで写真を撮ったエイヴリー(ケイティ・スティーヴンス)が死亡するという怪現象が続く。

感想

バードはとても勘がいい。彼女が「あれ?これってもしかしてポラロイドカメラと関係があるんじゃ?」と気付くまでのスピード感である。ポラロイドカメラで撮った写真には不自然な影が写り込んでおり、それが怪死の原因であるらしいと即座に見抜く。彼女はその場でカメラを壁にぶつけて壊そうとするのだが、謎の衝撃波が発生(これには笑った)。観客にはプロローグの段階で危険なカメラだという情報が与えられているものの、“謎のカメラ”というアイテムの扱いがあまりに軽い。

その後、彼女が写真を撮ってしまった仲間たちに「この影が……」と告げに行くと、デヴィンが「しょーもな。燃やすわ」と写真に火をつける。すると、ミーナ(プリシラ・キンタナ)の腕が発火し、カメラと怪死の関係が確定する。ジワジワと怖がっている余裕のない早すぎる展開である。写真への攻撃が被写体へのダメージとリンクするという“呪いの人形”的な設定は面白いのだが、バードまでもが早々に悪霊と遭遇し、登場人物が「一体何が起きているのか」を考える隙を全く与えてくれない。

三十郎氏はカメラにまつわる“現象”を解き明かしていく方が面白くなったと思うのだが、代わりにバードたちは悪霊の正体を暴こうと奔走する。心霊現象が所与の世界なのである。調べてみると、そのカメラの持ち主が過去に殺人事件を起こしていたと判明。しかし、「だからこのカメラは危険だったのだ!」と言われても三十郎氏はノリきれない。悪霊の正体を巡る二転三転には意外性があって楽しかったのだが、なんだか本質からズレている気がする。

そして訪れる悪霊との直接対決。物理攻撃が多少は効くという時点でも笑ったが、まさか写真へのダメージとのリンクが悪霊にとって仇となるとは。これでは悪霊がただの阿呆である。本人が望んで身につけた能力ではないのかもしれないが、もはや笑わせにきているとしか思えない。なんてドジっ子な悪霊なのだろう。わざわざ姿を現して写真に撮られ、その効果が自分にまで及んでしまうなんて。そもそも悪霊には“目的の人物”がいたのに、わざわざ被写体全員を殺すだなんて不毛過ぎる。

SX-70を使う時に「キュイィィーン」とけたたましい音が響き渡るのだが、実際にあんな作動音がするのだろうか。爆発しそうで別の意味で怖い。