オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドラッグ・チェイサー』

Running with the Devil, 92min

監督:ジェイソン・カベル 出演:ニコラス・ケイジローレンス・フィッシュバーン

★★

概要

旅するドラッグ。

短評

ニコラス・ケイジ主演のクライムスリラー。もっとも、本作はドラッグが南米から北米へと運ばれていく過程を淡々と描いており、彼の“らしい”活躍が見られることはなかった。「ニコラス・ケイジローレンス・フィッシュバーンが共演しているくらいだから、彼らはさぞかし重要な役どころなのだろう」と思っていたのに、あまりにも地味な展開で退屈した。これならたとえバカ映画でも、ニコラス・ケイジだけが無駄に存在感を発揮しているタイプのB級映画の方がまだ楽しめる。

あらすじ

ダイナーを経営している男(ニコラス・ケイジ)には裏の顔があった。彼は組織のボス(バリー・ペッパー)からドラッグに不純物が混入していると告げられ、仲間の男(ローレンス・フィッシュバーン)と共に流通過程の調査に赴く。しかし、男の友人が捜査官(レスリー・ビブ)に情報を漏らしてしまい……。

感想

混ぜものをしている犯人はローレンス・フィッシュバーン(誰一人名前が呼ばれることはない)である。そういうサスペンス要素がありはするものの、そこが物語の中心というわけではなく、調査はあくまで流通過程の一要素に過ぎない。コロンビアからワシントン州へと、どうやってコカインが渡っていくのかという“旅”の映画であり、ある意味ではコカインが主役とも言えるだろう。

したがって、ニコラス・ケイジも最初から顔を出している割にはなかなか本筋に絡んでこない。ずっと彼がコカインを運んでいるわけではないので当然と言えば当然である。最後に裏切り者に制裁を加えるという見せ場が用意されてはいるものの、彼の圧倒的な知名度と存在感は映画の主眼を観客に見誤らせるものであり、いない方がどういう映画なのかを認識しやすかったのではないかとすら思う。彼が出ていなければ三十郎氏が本作に出会うことはなかっただろうが。

ニコラス・ケイジ主演」という前提を頭から取り去れば、コカインが北上するにつれて価格が上昇する文化的に興味深い描写や、運び屋たちが検問に引っ掛かりそうになるスリリングな場面もあるため、違った見方ができたのではないかという気もする。しかし、それを許さないのがニコラス・ケイジの存在感なのである。コカインよりも彼の方が劇薬だろう。

「てめー、抜いてもバレないと思ってんじゃねーぞ」とカルテルの怖い人に怒られて殺される運び屋。怖い人は運び屋の首を切り裂いた包丁をナイフ代わりに使って食事を続けていたが、精神的な嫌悪感がないにしても感染症とか気にならないのか。この殺害の舞台が『ボーダーライン』の最後に登場するような屋外ダイニングなのだが、カルテルの怖い人の豪邸には必ず備わっているものなのだろうか。なお、同作とは異なり女性捜査官がやりたい放題だった。法的に問題あるだろ。

ドラッグ・チェイサー(字幕版)

ドラッグ・チェイサー(字幕版)

  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: Prime Video