オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『エクストリーム・ジョブ』

극한직업(Extreme Job), 111min

監督:イ・ビョンホン 出演:リュ・スンリョン、イ・ハニ

★★★

概要

麻取がチキン店を経営する話。

短評

2019年に韓国で歴代最高興収を記録したというアクション・コメディ。「アクション」の方には過剰なサービス精神と言うか、取って付けた感がなくもないのだが、「コメディ」の面白さだけで十分に楽しめる一作だった。「韓国ではどの学科を卒業しても最終的にはチキン店経営か餓死に行き着く」という風刺なのかコラなのか分からない画像を三十郎氏も見たことがあるのだが、刑事とてそのフローチャートからは逃れられないのだ。監督のイ・ビョンホンは、俳優のイ・ビョンホンとは同姓同名の別人らしい。

あらすじ

予算もなく、成果も上げられず、解散寸前のソウル市警麻浦署の麻薬捜査班。起死回生を期して暴力団会長イ・ムベの逮捕を目指す彼らは、アジトの向かいにあるチキン店で張り込みを開始する。そのチキン店には全く客が来ず、アジトへの配達しか仕事がないので売却を検討していると知った麻薬班は、店を買い取って捜査拠点とすることに決定。しかし、客を追い返してばかりでは怪しいとチキンを揚げて提供してみると、それが意外にも好評を博してしまう。

感想

かくして“水原カルビ味チキン”は大成功を収めたのだった。めでたしめでたし……というわけには流石にいかないのだが、「捜査とチキンとどっちが大事なの!」という恋人の喧嘩のような要素を申し訳程度に挟みつつ(「俺が一人で尾行してる間に……」と不満を口にするヨンホに対して皆がチキン店経営の苦労を語る場面が笑える)、チキンの方により重きを置いているのが本作の面白さだろう。

遂に暴力団から注文が入ったと思ったら引っ越し済みで、無許可の副業が署にバレて停職。“捜査パート”が無残なまでの空振りに終わり、「仕方ない……チキンで稼ぐか……」と“本業”に精を出していたところ、そのチキン店に関する偶然から逮捕へと繋がることになる。「何やってんだ!俺たちは刑事だろ!」というお約束の熱血展開ではなく、「俺たちのチキン店を台無しにしやがって!」からの逮捕という間抜けさである。最後は皆が本気を出して逮捕に至るが、実質的には“チキン様々”なのだ。果たして、復職した後の店はどうなるのだろう。

「タレ付きチキン(ヤンニョムチキン)」を注文され、苦し紛れに作った“カルビ味”で大成功を収めるマ刑事。三十郎氏はYoutubeの広告にハングルが登場することがある程度には韓国の料理動画をよく見るのだが(スキップしたので何の広告なのか分からなかったがヒンドゥー語も出てきたことがある)、(当たり前と言えば当たり前だが)似たような調理風景でなんだか面白かった。また、それがやたらと美味しそうに撮影されていて、まるで“刑事もの”らしさがなくて笑ってしまう。あー、お腹減った。

ポンコツ軍団のようでいて、実はエキスパート集団だった麻薬班。元柔道代表のマ刑事、元ムエタイチャンピオンのチャン、元海軍特殊部隊のヨンホ、元野球部のジェホン、そして、「ゾンビ」の二つ名を持つコ班長。それまでがコメディ一辺倒だっただけに唐突ではあったものの、ヨンホが強すぎて敵が従順になっていたり、コ班長が本当にゾンビみたいな行動をするのは笑えた。

あまり社会性とかがあるタイプの映画ではないが、市中のジャンキーたちの存在をコミカルに描いてしまう辺りが韓国映画の懐の深さか。

ケヴィン・ハート主演のハリウッドリメイクが決まっているらしい。韓国のように「困った時のチキン店」というネタで笑いを取れるわけではないと思うのだが、果たして、“黒人とフライドチキン”の組み合わせをどう料理するのだろうか。

サイコキネシス』の感想にも同じことを書いたのだが、リュ・スンリョンと安倍前総理はやっぱり似ていると思う。

エクストリーム・ジョブ(字幕版)

エクストリーム・ジョブ(字幕版)

  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: Prime Video