オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ディープ・ライジング』

Shark Attack 2, 92min

監督:デヴィッド・ワース 出演:トーステン・ケイ、ニキータ・エイガー

★★

概要

ホオジロザメが水族館から脱走する話。

短評

シャークアタック』と『ディープ・ライジング コンクエスト』の間のシリーズ二作目。どうしてこのようなタイトルの変化があったのかは不明だが、きっと「サメ」と「科学者」の組み合わせで“思いついてしまった”人がいたのだろう(よく分からないが「高知能」という設定もある)。“特徴がないことが特徴”とでも言うべきか、真面目なパニック映画の水準には達していないものの、“狙っている”ような設定もなく、淡々とつまらなかった。

あらすじ

ケープタウンの入江にホオジロザメが出現。水族館のオープンを控えるマイケルは、それを館の目玉にしようと考える。彼は海洋学者ニックの反対を押し切って捕獲したサメを展示したものの、餌やりの際に事故が発生。サメは係員を殺害し、門を破って逃亡してしまう。責任を押し付けられたニックは、そのサメに姉を殺されたというサマンサ(ニキータ・エイガー)と共にサメの殺害を試みるが、高度な成長を遂げたサメが群れを成してサーフィン大会を襲おうとしていた。

感想

これまでに観たシリーズの二作品は、サメとの戦いよりも企業の陰謀という側面が強かった。本作は陰謀要素が鳴りを潜めているものの、サメの暴走は何らかの人為的操作の結果であるらしく、「サメは本当は怖い生き物じゃないんだ」という“サメ擁護”の点では他のシリーズ作品と一致している。『シャークウォーター』のようなドキュメンタリーも観た身として、この主張には一理あると感じる部分はあるものの、「だから何?」と言いたくなるくらいには単純につまらない。

「あのサメが姉を殺したの!」と展示に反対し、深夜の水族館に侵入して暗殺を試みる過激派サマンサ。サメ研究者のニックに「サメは本当は……」と主張させつつも、映画的にはサメと対決させて殺したい。そこで、上述の人為的操作という設定が雑に導入され(前作との繋がりが一応ある)、「やっぱり殺さなきゃ」となるだけの話である。サメを目撃するなりショットガンを持ち出す勇ましいサマンサだが、船に突撃を受けた衝突で転落するというポンコツ戦士であった。なお、今回の主人公とヒロインは“唐突”には交わらず、ちゃんと“デート”という過程を踏んでいる。印象の薄いヘザー・グラハムといった趣のサマンサのおっぱいは密着によって隠されていたが、サーフィン大会で日光浴する女性がおっぱいを晒している。

サメは人を喰うので怖い。だから殺さねばならぬ。というのがサメ映画における人間の行動を肯定するための論理なのだが、本作の場合、人間側のハイレベルな無能ぶりによって「サメは本当は危険じゃない」が表現されていた。ただ危機管理が酷いだけである。餌やりの際に殺される係員は、サメの餌を繋いだロープが脚に絡まり、水中に引きずり込まれたところを襲われている。これほどまでの不注意ぶりであれば、サメに襲われずとも、拝金主義の経営者が専門家を無視せずとも、溺死という結果になっていたことは想像に難くない。

サメの表現は、実写、模型、CGの豪華三点セットである。編集でサメの実写映像と人間パートを交互に挿入する場合、後者におけるサメの存在感が皆無である点が逆に清々しい。模型の活躍が多く、多くの低予算サメ映画で観られる“ピョンと飛んでパクっ”でない点には好感が持てたが、模型の品質は非常にお粗末である。海面から背ビレを見せて泳ぐ姿は、子供でも余裕で逃げ切れそうな程にスロー。顔を見せて襲いかかってくると、ツルツルテカテカのハリボテ感。これも実写と交互に出てきた時に残念さが際立つ。本物のサメの映像を見れば“傷”がついていることは明らかなのに、どうしてあんなにも“新品”のまま使ってしまうのだろう。近づける努力はしないのか。実写と模型の組み合わせが大半なのだが、最後に(制作時期を考慮すれば)それ程酷くない出来のCGが突然出てきて謎だった。

ディープ・ライジング(字幕版)

ディープ・ライジング(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/16
  • メディア: Prime Video