オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『バイバイマン』

The Bye Bye Man, 95min

監督:ステイシー・タイトル 出演:ダグラス・スミス 、ルシエン・ラヴィスカウント

★★

概要

“それ”を言ったら、終わり。

短評

「絶対に配給会社が適当につけた邦題だろう」と思って観たら、ほぼ原題の通りの邦題で、しかもその名の通りの“バイバイマン”が出てくるというホラー映画。このダメな予感しかしない雰囲気の割には面白いアイディアで勝負していたように思う。しかし、「バイバイマン」なんてフザけた名前の怪物が怖いはずもなく、「こいつが出てこないままの方がよかったのでは……」という残念さがあった。

あらすじ

恋人サーシャ(クレシダ・ボナス)と親友ジョンと共に、寮を脱出して新居での生活を始めた大学生のエリオット。引っ越しパーティー(と深夜の野球)を終え、霊感のあるキム(ジェナ・カネル)と共に降霊会を開くと、彼女が狂ったかのように「考えるな。言うな(Don't think it, don't say it.)」の言葉を連呼し始める。その言葉が新居にあった家具の引き出しの中に書き殴られていたことを思い出したエリオットは、思わず「バイバイマン……」と口にするのだが、それは決して言ってはならない言葉だった。

感想

(タイトルだけで恐怖を減じさせてしまう名前の)バイバイマンとは、その名を知ってしまった者たちに幻覚を見せ、狂わせたり争わせたりして殺す怪物である。きっとこの名前をどうしても知られたくなくて、知られてしまうと恥ずかしさの余りに殺してしまうのだろう。「降霊会をしたら……」という流れそのものは、ありきたりという言葉では言い表せない程にありきたりなのだが、召喚された悪霊や怪物が襲いかかってくるのではなく登場人物が猜疑心の果てに自滅したり、悪霊と対決するのではなく自己犠牲によって解決を図る展開は珍しかったように思う。

妄想なのか、それとも本当に何かが起きているのか。この路線のサイコスリラー的状況は好きだったのだが、その恐怖を十分に描き切れてはいなかった。また、本作にはバイバイマンが『バイオハザード』に出てきそうなペットを伴って姿を現してしまう。いるのである。しかし、彼は出てくるだけで大したことはしないため、本当に出てくる必要があったのかは疑問が残る。「フフフ……俺が幻覚見せてるんだぜ……」と無言で種明かしするための登場に過ぎない。それならばいっそ彼を登場させることなく、“現象”だけで貫徹してみてはどうだったのかという気がしなくもない。彼がいなくてもショッカーシークエンスは十分に作れるし、冒頭の頭が狂ったようにしか見えない男のシークエンスも、“正体”が分からなければ怖かっただろう。

妄想路線に説得力を与える設定。新居で暮らす三人は、ナヨっとした白人青年と美人恋人、そしてモテる黒人青年という組み合わせである。(バイバイマンがいなくても)寝取られの予感しかしない。エリオットも(バイバイマンとは無関係に)その不安を強く感じているらしく、それをバイバイマンに利用されてしまう。サーシャがジョンに寝取られている場面は幻覚だったわけだが、そうでなくとも遅かれ早かれ現実に起きたことだろう。その痛手を避けられたという意味では、エリオットはバイバイマンに感謝すべきである。ちなみに、このシーンでは“見えない”。

エリオットが調査を進めて冒頭の出来事の真相が明らかとなり、バイバイマン対策の内容も判明する。名前を知ってしまった時点で死は避けられないのなら……ということで下される決断からの「でもやっぱりダメでした」的なオチが、いかにも都市伝説らしくて良かった。アリスちゃん(エリカ・トレンブレイ)が死ななくてよかった。

キャリー=アン・モスフェイ・ダナウェイリー・ワネルといった大物たちがちょい役で出演している。いかにもなB級ホラー映画っぽいのだが、実は期待の一作だったりしたのだろうか。それとも監督かプロデューサーが謎のコネクションでも持っていたのか。

バイバイマン(字幕版)

バイバイマン(字幕版)

  • 発売日: 2019/07/01
  • メディア: Prime Video