オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『キュア 禁断の隔離病棟』

A Cure for Wellness, 146min

監督:ゴア・ヴァービンスキー 出演:デイン・デハーンジェイソン・アイザックス

★★

概要

ミッション:療養所から社長を連れ戻せ。

短評

色々と驚かされたゴシックホラー。ただし、その驚きは良い方向に作用していない。まず一点、長い。「この話に二時間半も掛けるのか……」という驚きである。100分にまとめろ。実際に長いという問題に加え、「この結末の分かりきった話に……」という要素が加わって冗長に感じられるのだが、それがもう一つの驚きを生み出す。分かりきっていたはずの結末は裏切られるものの、「そっちかよ!」との言葉が必ずや口をつくことだろう。作品の楽しみ方がまるで間違っていたらしいのだが、それならそれでミスリードはやめてほしい。

あらすじ

ウォール街で働くロックハートデイン・デハーン)に取締役会から指令が下る。曰く、「社長のペンブロークがスイスの療養所に行ったまま帰ってこないので連れ戻せ」とのこと。スイスの山奥にある古城を再建した療養所へと赴いたロックハートだったが、面会時間外で社長に会えなかったため出直そうとすると、帰り道にシカが飛び出してきて事故に遭う。三日の昏睡の末に彼は療養所のベッドの上で目を覚ますのだが、「誰も帰らない」という療養所には恐ろしい秘密があった。

感想

時代設定はスマホの存在する現代。大都会ニューヨクから“圏外”の療養所へと飛び、ゴシックホラー的な舞台が整う。今思えば、これで大人しく「ゴシックホラーなんだ」と認識しておけばよかったのだ。しかし、事故で昏睡していた男が「ここは怪しい!」と一人で喚いているのを見せられれば、「主人公の頭の方がおかしいのだな」と思い込むのも無理はない。ただし、実際にはその逆で、「狂人みたいな主人公だけが真実に気付く」という展開。実際に療養所でおかしなことが行われていたというオチが待っている(これはこれでよくある話なのに、どうして前者だと思い込んだのだろう)。果たして、この“衝撃の結末”をどう受け入れたものか。

映画を素直に観ていれば、提示された情報が一応回収され、その上で驚きを伴った結末だと評価できただろう。“解き明かされる真実”の内容自体は割と魅力的なのである。しかし、その結末の驚きを強調するために「ロックハートが狂人」と思い込ませるに足る演出が成されているため、真相に迫っていく過程にどうも興味を持ちづらい。どんなに療養所での出来事が怪しかろうと、「どうせこれも最後に全部ひっくり返されちゃうんでしょ?」という意識に邪魔をされてしまうのである。長さという問題もそうだが、もう少し主人公が感じる恐怖に共感できるような構成にはできなかったのだろうか。

療養所では“水治療”が行われている。その地の水には特別な力があるらしく、患者たちはその力で若返るのだとか。ロックハートが「この水はヤバい!」と気付き、その特別な水の製造過程と目的が明かされる。老人だらけの療養所で一人だけ若い少女ハンナ(ミア・ゴス)をアレするためだけに壮大なオカルトが繰り広げられている展開にはワクワクさせられたのだが、それはあくまで“オチ”なのである。100分の映画ならばそれでよかったのかもしれないが、本作のように2時間超えであれば、もう少し早く“種明かし”していしまい、そこから先の恐怖を見せてくれた方が楽しかったと思う。

療養所では“ウナギ”の力を利用している。ウナギを飼っている水は有毒らしく、これを“人体濾過”すると謎の薬が出来上がるのだとか。これは理屈というよりも、ハンナに“ウナギ風呂”に入らせる映像的なインパクトありきなのだろう。アメリカ人も触手責めが好きらしい。精をつけるためにウナギを食べるわけではないのだが、職員の男がナースの垂れ乳を見ながら自慰する場面がある。あれでよく勃つものだと思う。ウナギパワー恐るべし。他にも患者の老婦人たちの“醜い肉塊”を見せられたりしていたため、終盤にミア・ゴスの綺麗なおっぱいを見られたのは嬉しかった。彼女はファニーフェイスの代表格かと思うが、それが本作ではいい感じに“年齢不詳”の方向に作用しており、なかなか魅力的な不思議ちゃんだった。

ハリウッドスターは大抵逞しい肉体をしており、人種的劣等感を覚えることが多々あるものの、デイン・デハーンだけは「自分の方がマシ」と思えて安心できる。

キュア ~禁断の隔離病棟~ (字幕版)

キュア ~禁断の隔離病棟~ (字幕版)

  • 発売日: 2017/11/17
  • メディア: Prime Video