オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『メイヘム 殺人晩餐会』

O Animal Cordial(Friendly Beast), 98min

監督:ガブリエラ・アマラウ 出演:ムリーロ・ベニシオ、 ルシアス・パエス

★★

概要

レストランオーナーが強盗と客と従業員を殺す話。

短評

てっきり「人肉料理レストラン」的な悪ノリ系スプラッター映画だと思って観たのだが、なんだかよく分からない一作だった。とりあえずエログロはあるものの、ドラマに重きを置いているらしい割には殺戮が開始される“導入”の時点から心情を皆目理解できない。最後まで観れば、狂人に影響を受けて狂人となるもう一人の方の物語であったらしいと分かるのだが、だからと言ってよく分からないことに変わりはなかった。

あらすじ

イナシオが経営しているブラジルのレストラン。閉店間際で二組の客を残すのみとなった店内に二人組の強盗が現れる。強盗は客のベロニカ(カミラ・モルガド)にセクハラしたりするが、彼らの銃が偽物であることを見抜いてイナシオが逆襲に転じる。しかし、彼は警察に通報することも撃った相手のために救急車を呼ぶこともなく、シェフのジャイールを強盗とグルなのではないかと疑い出し、ウェイトレスのサラ(ルシアス・パエス)と共に店内にいる者を殺しはじめる。

感想

イナシオが「警察は信用できん!」と言って、強盗も客も“処理”していく物語である。しかし、信用できないからと言って通報しない理由も、救急車を呼ばずに撃った強盗を死なせようとする理由も、そしてジャイールを疑う理由もまるで分からない(残りの客を拘束するのは「ついで」という理由で理解できるか)。彼が雑誌の取材を控えてナーバスになっていたり、従業員との関係が上手く行っていなかったり、クソ客に悩んでいたりする描写はあるのだが、どれも殺戮の理由としては弱いと言わざるを得ない。

“狂人”が人を殺すのに理由はいらないのかもしれないが、それは狂人がホラー映画の“悪役”である場合に限られる。理不尽なのは怖い。しかし、導入部のイナシオは明らかに“主人公”であり、そこに感情移入できないとなると、話に入り込む前に完全に置き去りを食らってしまうのだった。

店内で一人だけイナシオの味方となるサラ。恋心なのかゴマすりなのか、彼女はイナシオに協力するのだが、イナシオが「人肉を料理に使おう」と言い出したところで“正気”に戻る。そして、ジャイールが拘束に成功したイナシオをサラが“解体”して終劇である。彼女は正気に戻ったのか、狂気に飲まれたのか。その辺りの複雑な心情の変化を上手く表現しているとは言い難く(それ以前にイナシオのせいで「こいつら、何やってんの?」ではあるのだが)、なにかシリアスぶってはいるが、ただそれっぽい雰囲気を出してエログロをやっているだけの印象だった。

「ただエログロをやりたいだけ」な割にはグロ要素が邦題から期待される内容から程遠いレベルであるものの、イナシオとサラの“血みどろセックス”は、「これを撮りたかっただけだろ」なノリで楽しかった。きっと監督が特殊性癖の持ち主なのだ。血まみれで交わる男女の姿を描写したかったばかりに、流血からセックスまで展開できそうな状況を用意してみただけなのだ。そう考えれば全ては腑に落ちる。面白グロテスクになんてそもそも興味がないからスプラッター描写に何の工夫もなかったのだ。これは変態専用のポルノなのだ。

その血みどろセックスだが、イナシオとサラのどちらが主導しているのか分からない謎セックスだった。行為に誘ったのはイナシオのようだったが、サラが彼に銃を突きつけて「服を脱げ」と言い、仰向けにならせたところに跨る“逆レイプ”のような形になっている。血みどろの時点で相当に歪んでいるのだが、逆レイプ願望とのセットという逸脱ぶりである(その心理状態は当然に分からない)。なお、上に乗ったサラは、“腰を振る”というよりも“生まれたての子鹿のようにプルプルと震えて”おり、グロテスクなのかエロティックなのか滑稽なのか分からない光景となっていた。

強盗から「ブス」と呼ばれていたサラだが、そんなにブスではないと思うし、何より脱ぐと凄い。彼女のおっぱいは(少々垂れ気味ではあるものの)大きくて形もよく、乳輪も綺麗である。

メイヘム 殺人晩餐会(字幕版)

メイヘム 殺人晩餐会(字幕版)

  • 発売日: 2019/09/01
  • メディア: Prime Video