オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『THE LOOP ザ・ループ 永遠の夏休み』

Mine Games, 91min

監督:リチャード・グレイ 出演:ジョセフ・クロス、ブリアナ・エヴィガン

★★

概要

廃坑道で自分の死体を発見する話。

短評

ブラッド・パンチ』のアタリに気を良くしてのループものチョイス。そうそう簡単にアタリが続くはずもなく、これは普通にハズレだった。事態が進展を見せはじめるまでの約半分はただ退屈なだけ。自分の死体を発見してからは盛り上がるかと思ったが、「伏線を回収したからそれでいいでしょ」とばかりに雑に片付けられてしまった。何の規則性も感じられない、ただループしただけの残念なループものだった。しかし、これでいいのだ。ハズレがあるからこそのアタリなのだ。外れた時の残念さを知っているからこその当たった時の喜びなのである。

あらすじ

夏休みに森の中の別荘に遊びに来たマイケル、ライラ(ブリアナ・エヴィガン)、ガイ、クレア(ジュリアンナ・ギル)、ローズ(レベッカ・ダ・コスタ)、TJ、レックスの男女七人。途中で車が故障して歩くトラブルに見舞われたものの、なんとか別荘に到着する。翌朝、ガイが見つけてきた廃坑道に皆で入ってみると、ローズがパニックを起こし、不可思議な現象が起こるようになる。

感想

「霊を見るのは初めてじゃないわ」とか言っちゃうスピリチュアル女ローズがマッシュルームをキメて、他者には見えない血痕や傷跡、死相を見てギャーギャーと喚ぐ。邦題が邦題だし、坑道の入り口には「悪循環を断て」、中にはウロボロスの絵が描かれていたりするので、ローズの幻覚路線はミスリードにすらならず、彼女の目に見える世界をなぞるかのように一行を災難が襲うという展開である。なお、なぜローズにそのようなものが見えるのかは一切の説明がなく、彼女のスピリチュアルな感性に全てを負っている。大事なことは全て放り投げるスタイルである。

もう一人の幻覚路線マイケル。身内から「薬飲んだの?」と気遣われる統失患者である。彼の病気は惨劇の一端を担っているはいるものの、それ単独で機能しているわけではなく、あくまでループありき。ループ状態の自分から「こういうことになるから、あいつらをこうしろ」と言われたマイケルが事件を引き起こすわけだが、その理由やトリガーが一切分からない。やはり大事なことは全て放り投げるスタイルである。ある意味では不条理劇と言えるのかもしれないが、ループものに期待される“謎が徐々に解き明かされる感覚”をまるで味わえず、ただ辻褄を合わせただけという感じだった。

別荘への道中で轢いてしまいそうになった男。初日の夜に聞こえた物音。坑道の入り口や中に書いてある文字。これらの分かりやすすぎる伏線についてはちゃんと回収されるのだが、「悪循環を断て」と書く必然性がまるでなく、話を無理やり畳んだ感が否めなかった。

本作のループの特徴は、「ループした自分がループする前の自分に介入する」という点である。坑道に閉じ込められて狂ったマイケルが別荘到着日のマイケルに、結末ではマイケルから逃げ延びたライラが映画冒頭でマイケルに話し掛けられている自分のところにやって来る。かくしてウロボロス的な“無限”が成立するはずなのだが、人物の無限増殖による影響がマイケル以外には考慮されておらず、全体として設定の練り込み不足を感じた。全ては「伏線を回収したからそれでいいでしょ」の言葉でまとめられる。

THE LOOP ザ・ループ ~永遠の夏休み~(字幕版)

THE LOOP ザ・ループ ~永遠の夏休み~(字幕版)

  • 発売日: 2016/06/22
  • メディア: Prime Video