オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ランボー 最後の戦場』

Rambo, 91min

監督:シルヴェスター・スタローン 出演:シルヴェスター・スタローンジュリー・ベンツ

★★★

概要

ランボーvsミャンマー軍事政権。

短評

シリーズ四作目。「最後の」とあるが、それが邦題詐欺であることは原題からも、そして五作目の存在からも明らかである。ベトナム帰還兵の苦悩のようなテーマはとっくに失われてしまっているので気にしないものとして、ランボーが好き勝手に暴れるだけの映画だと思っていたのだが、最近のミャンマー情勢に関するニュースを見る限りでは意外にもリアルな設定らしいという新鮮さがあった。それでもなおランボーが好き勝手に暴れているだけの映画だとは思うが、ほとんどスプラッター映画に近い人体破壊描写が圧巻で楽しかった。

あらすじ

タイ北西部のメーソートで隠遁生活を送るランボーシルヴェスター・スタローン)。そこにミャンマーの軍事政権に弾圧を受けるカレン族を支援したいという“汎アジア牧師会”がやって来て、彼に案内を依頼する。最初は頼みを断るもサラ(ジュリー・ベンツ)の熱心な説得に根負けしたランボーは彼らを村へと送り届けるが、その村もまた軍部の襲撃に遭い、サラたちは拉致されてしまう。救出に向かう傭兵の案内を再度依頼されたランボーもまた、戦いに身を投じることとなる。

感想

ミャンマー軍事政権によるカレン族への弾圧がニュースになっているだけあって、軍部による虐殺の描写が奇妙なリアリティを感じさせた。スプラッター映画的に人肉が弾け飛ぶだけでなく、子供がグサリとやられる痛ましい場面を全くボカすことなく描いているのは珍しいように思う。そんな凄惨な背景がランボーを戦いに駆り立てたと言える程のドラマは用意されていないのだが、映画を観るタイミングによって印象が変化する好例である。

現実世界におけるカレン族への弾圧に踏み込む意図がどの程度あったのかは不明だが、凄惨な虐殺の描写によって“悪役”が設定され、更に凄惨な虐殺が可能となる。ランボー大暴れである。敵軍のガトリングガンを乗っ取って乱射し、被弾した肉体は砕け散っていく。銃以外の攻撃では、ランボーが“爪”で相手の喉を切り裂くシーンなんかもあったりして、アクション映画というよりもスプラッター映画だった。この迫力とゴア描写への拘りがとにかく凄いの一言なので、ストーリーの多少の粗には目をつむることができる。描かれているのは悲惨な戦場のはずだが、内心はウキウキで「ヒャッホー!」である。

一応は「戦いの血が騒いで抑えられない」みたいな内面描写があるのだが、客観的に考えればランボーが女に弱すぎるだけである。牧師会の代表ポジションでうすらハゲのマイケルの頼みは素気なく断ったのに、サラに頼み込まれるとあっさりと翻意する。傭兵のボスハゲに「ボートで待ってろ」と言われたのに戦いに参加したのも、サラを助けたかっただけのように見える。ランボーはタイの奥地で“溜まって”いたのだろうか。たまにはバンコクに遊びに出かければよかったのに。

ボスハゲ傭兵が「ミャンマーなんかに行くのが悪い」と言う通り、牧師会のメンバーは相当に平和ボケしており、正直に言って彼らには死んでほしかった。彼らが来なければ救えた命もあるはずである。彼らは支援物資として大量の聖書を配っていたが、そんなものを持ち込む余裕があるのなら、他に必要なものがいくらでもあるだろうに。本は重いしかさばるぞ。そんな平和ボケ集団であってもランボーが助けてしまうわけだが、色ボケ感のあった彼がせっかく助けたのに、サラはマイケルとの再会を喜んでランボーはひっそりと身を引く。彼が故郷アリゾナへと帰る結末は、この失恋に起因しているのか。タイ人女性にはときめかなかったのか。

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

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