オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブラッド・パンチ タイムループの呪い』

Blood Punch, 99min

監督:マデレイン・パクソン 出演: マイロ・コーソーン、オリビア・テネット

★★★

概要

繰り返す火曜日。

短評

いかにも駄作っぽいパッケージだが、意外な掘り出しものだったSFホラー。プライムビデオではこういう安っぽいパッケージと邦題の謎映画が大量に配信されているのだが、どれもハズレ臭が尋常ではないため、三十郎氏は気になった作品のIMDbを一応チェックすることにしてみた。本作は評価が高そうだったので観てみたのだが、これは確かにアタリの部類に入る。安っぽかったり気になる箇所がないわけではないし、「SFホラー」と言うには全く怖くないのだが、それらはコミカルな雰囲気で上手く誤魔化せているし、話自体は上手くまとまっていた。

あらすじ

火曜日。目を覚ましたミルトンがトイレで吐いていると、自分の映像が収録されたモニターを発見する。画面の中の自分が語ることには、薬物中毒更生施設で出会った女スカイラー(オリビア・テネット)が彼の化学の知識に目をつけ、恋人ラッセルと共にメスの精製に誘ってくる。施設を抜け出して山荘にやって来た三人だったが、作業を終えるなり自分を殺そうとしてきたラッセルにミルトンが反撃して逆に殺害。ラッセルの遺体は森の中に埋めたはずだったが、翌朝、ミルトンが目を覚ますと、そこには昨日と変わらないラッセルの姿があった。

感想

導入部は典型的なループものである。それも嫌いではないのだが、少々変わり種のルールが観客の興味を惹く。驚いたミルトンがラッセルの遺体を確認しにいくと、そこには確かに“ある”のである。このルール自体は後に描かれる“大量の死体”という画的な面白さを引き出しただけで、ループのルールを解き明かすのには関係なかったわけだが、とりあえず「掴みはOK」というところだろう。

ミルトン以外にスカイラーにも記憶が残されており、死んだ者以外は記憶が継続することが明らかとなる。このルールを利用した“スカイラーの乗り換え”も面白かった。二人は毎日ラッセルを様々な方法で殺害しながらループから抜け出す方法を探るが、一向に埒が明かないため、スカイラーが告白する。曰く、「ミルトンも沢山殺してきたけど、ラッセルは馬鹿すぎて頼りにならないからあなたの頭脳に賭ける」。ここで「ラッセルが知らないはずのことを知っていた」という謎が一つ解けると共に、解決編でも上手く利用されるルールとなっており、低予算映画にしては非常によく練られた脚本だったかと思う。

ループから抜け出す方法は「最後の一人になる」というもの。これストーリーの流れから上手く導出されているとは言えず、先住民族チャコティの呪い(ググってみたがスタートレックからの引用なのか)に関する資料を見つけて推理するだけである。この点については物足りなさを感じたものの、それが分かってからの展開が良い。チャコティの呪いの資料も序盤に“分かりやすすぎる伏線”として描かれているのだが、それ以外に“一発の銃弾”が同じ描かれ方をしている。それは当然に分かりやすく使用されるのだが、「ああ、やっぱりね」からの一工夫があって面白かった。

最後は記憶残存状態の三者が一堂に会し、ラッセルがロシアンルーレットを提案する。彼はイカレ野郎なので「まずは言い出しっぺから」と言って見事にアタリを引くのだが、この状況で行われるロシアンルーレットであれば、三つ銃を準備した状態で互いに狙いを定めて引き金を引かないと成立しないだろう。三十郎氏なら銃を受け取ってからラッセル目掛けて弾が出るまで引き金を引きまくる。

ラッセルが脳筋らしい阿呆な死に様を披露した後の展開については、「そこまで本気になるほどか?」という気はしたが、その後の“二段オチ”(実質的に三段オチか)は面白かった。ナビキ(アデレード・ケイン)たちは山荘で目覚めたわけではないのだが、果たして、どこからループが発動するのだろう。彼らが目覚めた時、「どうなってるんだ!?」と混乱してとりあえず山荘に“戻って”くるだろうから、唯一のルール把握者が待ち構えていてジ・エンドか。

ブラッド・パンチ タイムループの呪い(字幕版)

ブラッド・パンチ タイムループの呪い(字幕版)

  • 発売日: 2021/04/14
  • メディア: Prime Video