オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『絶叫のオペラ座へようこそ』

Stage Fright, 88min

監督:ジェローム・セーブル 出演:アリー・マクドナルド、ミニー・ドライヴァー

★★★

概要

オペラ座の怪人(弱)。

短評

ミュージカル形式のホラーコメディ。原題が同じヒッチコックの『舞台恐怖症』ではなく『オペラ座の怪人』の翻案ものである(同作の内容を忘れてしまったので、もし関連があっても分からないのだが)。一風変わったスタイルの割に特別に印象的ということはないのだが、ミュージカルの陽気なバカバカしさがホラーコメディと好相性で楽しかった。ヒロインも可愛く、脱いでも見せてくれないがおっぱいも大きかった。冒頭に「実話をミュージカル化した」とあったが、これは流石に『ファーゴ』方式だろう。

あらすじ

ミュージカル『オペラ座の“たたり”』の控室で主演女優カイリーが何者かに惨殺される。それから10年後、カイリーの娘カミーラ(アリー・マクドナルド)と息子バディは、演劇を学ぶことのできるサマーキャンプの調理係として働いてた。しかし、その年の演目に『オペラ座のたたり』が選ばれ、密かに母と同じ女優に憧れていたカミーラはオーディションへの参加を決意する。カミーラは見事に合格を果たし、遂に公演初日を翌日に控えたその日、演出家のアーティが殺害される事件が発生する。

感想

とっても可愛い主人公カミーラなのだが、意外にもしたたかな女である。ヒロインのソフィア役はリズ(メラニー・レイッシュマン)とのダブルキャストとなっており、スカウトが来る初日の出演権を懸けて二人は激しい争奪戦を繰り広げる。これが実力勝負というわけではなく、セクハラ演出家アーティへの純然たる“体当たり”である。挿入直前に拒否して未遂に終わったものの、カミーラはセックスも辞さない覚悟で戦っていた。キスくらいなら減るもんでもなしというのはヒロインらしくないのだが、これが結末に繋がっていて笑えるのである。

カミーラに迫る者たちを殺害した“ファントム”の正体は、彼女の弟バディ。カミーラに迫る男たち以外も殺しまくっていた彼の本当の狙いはキャンプの主催者ロジャーであり、実は彼こそがカイリー殺人の真犯人であった。その殺害の理由というのがカイリーの浮気で、「母娘二代で尻軽かよ」と笑ってしまうのである。容疑者を分散させ、一応は『オペラ座の怪人』的な話にするために真の標的以外も大量虐殺されてしまう雑な作劇ではあったが、豪快に吹き出す血糊がホラーコメディらしくて笑えたのでよしとしよう。血は出なかったが、最も気に入った殺し方は“アチアチ照明フェラ”である。

かくして初日の舞台は惨劇となり、舞台は血に染まる。これが却って評判になるという展開は『バードマン』みたいだった。三十郎氏は舞台というものを観たことがないのだが、“生”ならではの予想外の出来事が評価される場なのだろうか。きっちり決まったものを見せるのなら、やり直しのきく映像メディアの方が有利なわけだし。今回知ったのだが、舞台監督(進行指示的な役割)と演出家は別の人がするらしい。

ライムライト劇団による舞台『オペラ座のたたり』は“歌舞伎スタイル”である。アーティが歌舞伎という答えを引き出すために「日本で顔を白く塗るものと言えば?」と質問すると、「ブッカケ!」という答えが返ってくるシーンが最高に笑えた。隈取メイクなので顔はイマイチなことになっているのだが、歌舞伎なのにコルセット的な効果のある衣装をカミーラが着ていて、布からはみ出す体積の大きさたるや。彼女を見つめるスカウトの視線も、演技に感心しているというよりも“そういうこと”にしか見えなかった。ショートパンツから伸びた脚は少々太めで長く見えないが、ムッチリ感がそれもまたよし。

「gay」という単語には「陽気」という意味があるそうである。「俺は女好きだけどミュージカルが俺をゲイにする」という歌詞が笑えた。やはりミュージカル好きにはゲイのイメージがあるらしい。なお、この歌を歌う男はやはりゲイである。

絶叫のオペラ座へようこそ [DVD]

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  • 発売日: 2015/07/03
  • メディア: DVD