オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『You Are Next ユー・アー・ネクスト』

Sneekweek, 113min

監督:マルタイン・ハイネ 出演:カロリーン・スプーア、イェル・デ・ヨンク

★★

概要

リア充グループがマスクマンに襲われる話。

短評

邦題が『サプライズ(You're Next)』と紛らわしいオランダ映画IMDbのジャンルがコメディとなっていたり、劇中で登場人物が『スクリーム』を観ているシーンがあることからも分かる通り、同作のパロディ要素が強い一作である。ただし、ホラーとしてもコメディとしても中途半端な内容に終わっていた。冒頭で“原因”の部分が提示され、「こいつらは復讐されて当然」と思えるため、あとは邦題の通りに登場人物たちが順番に死んでいく様を笑って楽しめばよいだけのはずだったのだが、中盤からの展開が異常に遅くて退屈した。なにも上映時間まで『スクリーム』に合わせることはないだろうに。

あらすじ

とある大学における新入生を寮に迎えるための選抜の儀式。長時間の氷風呂入浴の結果、低温にも縮まぬ巨根の持ち主エリックが凍死してしまう。儀式を主催していたタイスやボリスらの上級生は証拠を隠滅して逮捕を免れ、それから2年後、何事もなかったかのよう卒業を迎えた彼らは、男女6人の寮のメンバーで休暇を楽しんでいた。誰が手配したとも知れぬ豪華な別荘を満喫する一行だったが、メレル(カロリーン・スプーア)が怪しげな男の人影を目撃する。

感想

恐らくは“お約束通り”と“ハズシ要素”の組み合わせということなのだろう。悪いことをした奴らが復讐されるという大筋は完全にお約束通り。その一方、一人目の犠牲者ゾーイ(マルリー・ファン・デル・フェルデン)は件の事件とは全く無関係にヤリチンのボリスがナンパして連れ込んだ女であり、彼女が襲われた理由も最後に「間違えただけ」と雑に説明される。他にもキムやリサ(ホリー・メイ・ブロード)が死にきらなかったりと、ホラー映画の定石ハズシには余念がないようだったが、定石通りの部分も含めてそれらが全く笑いに転化されておらず、笑うことも怖がることもできぬままに犯人の正体判明だけを待って2時間弱を過ごすことになった。もっとコメディに振り切ればよかったのに。

その犯人の正体だが、入寮儀式でエリックと一騎討ちを繰り広げてメンバー入りしたピーターが“容疑者”として描写されるが、彼は怪しすぎるので絶対に違う。エリックが生きていたり悪霊として出現することもないだろう。せっかくリア充軍団に入ったのに女ひでりに苦しむピーターには早い段階で退場してもらい、「じゃあ一体誰なの?」というのが焦点となるわけだが、真相は「まあ、そんなところだろ」という意外性もなければ、伏線回収が見事でもない極めて凡庸なものであり、せめてここだけは定石を外して驚かせてほしかった。

物語の展開に面白みがないとなると殺人の描写に期待したいところだが、ゴア表現も決して派手なものではない。犯人は様々な工具を使って殺人(未遂)を重ねていくのだが、頭部にネイルガンを撃たれたゾーイがその後も活動可能なのは笑えた。人間の頭蓋骨も意外に分厚いのか。ネイルガンを凶器に用いる場合、銃のように相手と距離を取って使うのではなく、標的とゼロ距離で発射すべきらしい。

原題の「Sneekweek」というのは、オランダはフリースラントで開催されるヨットレースを中心としたイベントらしく、本作にもとってもパリピなシーンが多数挿入されている。水着美女やおっぱいがお尻が拝めるのは楽しいものの、本筋とは無関係で冗長さの原因ともなっていた。ただし、おっぱいの登場はそれ程多くなく、ヨットレースでボリスに水着を脱がされるドイツ美女(Sensi Lowe)がMVP。もっとエロにも振り切ればよかったのに。

舞台となるイベントがおっぱい以外に機能していない一方で、“オランダ文化”的な要素は面白かった。ボリスは卒業式の会場では教員と、別荘ではゾーイと交わっている場面を友人たちに見られるのだが、まるで気にする様子もなく続行する。これは彼だけの話というわけではないらしく、タイスとメレルのカップルが休暇に出発する直前に盛っている時も外から丸見えというよりも見せびらかしている。オランダとベルギーの国境沿いの町を舞台とした『インモラル・ゲーム』も凄いことになっていたが、この地域には貞操や羞恥心という概念がないらしい。

入寮儀式では“チン長測定”が行われていたが、女性メンバーを選抜する時には膣圧検査でもするのだろうか。