オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『デス・フロア』

In un giorno la fine(The End?), 103min

監督:ダニエーレ・ミシシチア 出演:アレサンドロ・ロジャ、クラウディオ・カミッリ

★★

概要

エレベーターから出られなくなってたらゾンビが出現する話。

短評

ゾンビ映画とソリッド・シチュエーション・スリラーをジャンルミックスしたイタリア映画。ゾンビのメイクは上出来で迫力があるし、状況設定は非常に面白かったと思うが、その魅力を上手く活かしきれていなかったように思う。話の動きが単調すぎる上、「もっとこうすればいいのに」と思うところがあったり、主人公の行動が不可解だったりと、期待からの落差による不満は尽きなかった。

あらすじ

重要な商談を控えて会場へと向かうエレベーターに乗っていた経営者のクラウディオ。しかし、エレベーターが故障して動かなくなってしまう。商談に遅れて苛立つクラウディオは扉をこじ開けようとするものの、何かが詰まって出られない。助けを呼ぼうにもフロアに誰も見当たらず、妻ロレーナ(カロリーナ・クレシェンティーニ)が「牛乳を買って帰って」と電話してきて更に苛立ちを募らせるクラウディオだったが、外で異変が起きたかと思うと、ゾンビが襲いかかってくる。

感想

本作は、“エレベーターから出られない”という状況をもってソリッド・シチュエーション・スリラーというジャンルを成しているのだが、“出られなくて困った”というデメリットと同時に“ゾンビが入ってこられなくて助かる”というメリットも有している。この矛盾した状況を活かすのであれば、“それでも出なければジリ貧”というもう一つのジレンマを利用して然るべきだと思う。しかし、生存者を発見しては彼らが殺されるのを見守るだけの展開が続き、話がまるで動かない。これはあまりにソリッド過ぎる。

そこに変化をつけるべく登場するのが警察のマルチェッロなのだが、彼も「屋上の発電機を調べてくるよ」と言い残して去ってしまうため、彼と無線で交信できるという以外に話を動かしてくれない。戻ってきたマルチェッロがゾンビに噛まれていたという展開をもってエレベーター内のイベントは終了してしまい、「もうムリ……死のうかな……」という葛藤に至る前段階の描写が圧倒的に不足していた。

それでも死ねずにエレベーター内に留まっていたクラウディオに連絡の途絶えていたロレーナから電話が掛かってきて、「軍が助けてくれたわ!」と告げられる。そして、クラウディオは詰まっていたものを除去してビルの外に出ていくのだが、外のゾンビが全ていなくなったわけではないだろう。ジリ貧になるほどの長期戦を強いられなかったのだから、しばらくはエレベーター内で救助を待つべきだろう。妻の安全も確保されているわけで、クラウディオが強いてエレベーターから出るべき理由は全く見当たらず、かなり不可解な展開だった。恐らくは壊滅した外の風景を見せたかったのだろうが、よく出来てはいても圧巻という程ではない。その“惜しさ”は本作を象徴しているかのようである。

エレベーター内で手すりの鉄パイプを入手したクラウディオ。彼は襲いかかってきた元恋人マルタ(エウリディーチェ・アクセン)をこれで撃退する。鉄パイプをゲットしたならば、当然に“テコの原理”を利用することを考えて然るべきかと思うのだが、クラウディオはそれよりもマルタの死体を視界から外すこと優先していた。資料の紙を使って血液を覆い隠そうとしていたりと、非合理的な行動の散見されるクラウディオだったが、これらは何を意味しているのだろう。ゾンビ化間近のマルチェッロに「殺して」と言われても断り、「なら自分でやる」と言い出したら止め、結局襲われてから殺すというのも大変に阿呆だった。

イベント消化のためだけに登場して雑に殺されてしまったが、クラウディオの会社の新人シルヴィア(ベネデッタ・チマッティ)が美人だった。もっと彼女を見せてほしかった。なんなら主役にしてほしかった。

デス・フロア(字幕版)

デス・フロア(字幕版)

  • 発売日: 2018/08/21
  • メディア: Prime Video