オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スコーピオン・キング』

The Scorpion King, 91min

監督:チャック・ラッセル 出演:ザ・ロック、スティーヴン・ブランド

★★

概要

スコーピオン・キングのキングの誕生譚。

短評

ザ・ロック(現ドゥエイン・ジョンソン)の映画初主演作。『ハムナプトラ2』のスピンオフである。決して金の掛かっていないB級映画というわけではないが、“超大作”と呼ぶには少々ショボい。CGの発達が不十分な時代であったことも影響してチープな印象を受けるのだが、あまりにも特徴のないストーリーとロック様の演技の不味さが根本的な欠陥で、予算・技術以前の問題で“こてこて”のB級アクション映画だった。同じく巨漢の大根役者であるマイケル・クラーク・ダンカンが脇を固めたのは、主演俳優が悪い意味で目立たないための配慮だったか。

あらすじ

ピラミッド時代以前のエジプト。そこは最強の剣士であるメムノーンが支配していた。彼の支配を拒む者たちは、その力の源泉とされる予言師(ケリー・フー)の暗殺を企む。そこで白羽の矢が立ったのが、アッカド人の生き残りである戦士マサイアス。暗殺向きでない巨体で敵地へと忍び込んで予言師の元に辿り着くも、これが意外に美人だったので暗殺に失敗したマサイアスだったが、馬泥棒と共に“生き埋めとアリ攻めの刑”から逃れ、再びメムノーンへと立ち向かう。

感想

圧倒的筋肉、(変化の幅は大きいが)種類に乏しい表情、(母国なので発音はいいが)ゆっくり気味な喋り方。そして、パワー一辺倒で少々スピードに欠けるもっさりとしたアクション。ロック様はシュワちゃん二世と呼ぶに相応しい存在だと思う。マイケル・クラーク・ダンカン演じるバルタザールとの一騎討ちの場面なんかは動きが完全に“プロレス”で、この頃と比べると、今のドゥエイン・ジョンソンは演技もスタントもかなり上手くなったのではないかと思う(やはりスキンヘッドにしたのがよかったに違いない。ハゲこそ正義)。公開当時に観ていたらポンコツ映画と切り捨てていただろうが、彼が大スターとなったことにより、「若いな~」という楽しみ方はできるように変化したか。

もっとも、ドゥエイン・ジョンソンがアクションスターとして成功している一方で、シュワちゃんのような“ハマり役”には出会えていないように思う。シュワちゃんも『ターミネーター』がなければここまでの大御所になることはなかっただろう。ドゥエイン・ジョンソンも後世に語り継がれるような作品に出会えるのだろうか。

果たして、アッカド人というのはどのような容姿だったのだろう。予言師を演じるケリー・フーもロック様と同じくハワイ出身らしく、「とりあえずエキゾチックな外見ならいいか」というノリを感じた。アジア人っぽい出演者なんかもいたりして、この時代のエジプトというのはよく分からなかった。これは歴史アドベンチャーというよりもファンタジーか。

予言師が美人で暗殺を躊躇ってしまうマサイアス。メムノーンのハーレムしたかと思えば、予言師の風呂に突入して誘拐し(“髪ブラ”で巧みに隠しているが、動くシーンでも見えないのでニップレス使用だろう)、「生かしておいた方が得だな」と方針を切り替える。とんだ下半身の奴隷野郎である。ちなみに、メムノーンはエジプト制覇した暁には能力を犠牲としてでも予言師と交わりたいと切望しているのだが、あっさりとマサイアスに奪われてしまう。そこはかとない寝取られの匂いが漂っていた。

こんなポンコツ映画ではあるものの、本家の方を上回る五作目まで制作されたのは凄いと思う。プロレスラーが俳優業に挑戦するときの登竜門なのか。

スコーピオン・キング(字幕版)

スコーピオン・キング(字幕版)

  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: Prime Video