オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ガニメデの優しい巨人』ジェイムズ・P・ホーガン

The Gentle Giants of Ganymede/James Patrick Hogan

概要

地球人、2500万年前の異星人と遭遇する。

感想

星を継ぐもの』の続編。三十郎氏にとって映画を観るという行為は受動的であるため、大して面白くなくともシリーズものなら惰性で観てしまうのだが、読書というのはそれなりに能動的な行為であるため、そういうわけにもいかない。つまり、本書を読もうと思ったという事実が、三十郎氏が前作を大変に気に入ったということを端的に示してる。

前作は「月面で発見された死体チャーリー」という“謎”が常に物語を中心を占めており、科学的検証の詳細を理解できずとも話に非常に入りやすかった。翻って、本作もまた「ミネルヴァで何があったのか」という“残された謎”が解き明かされはするものの、異星人との交流がメインとなっていることもあり、その牽引力自体は前作を下回っていたように思う。解き明かされるべき謎に対していまいち注意が向きにくいのである。したがって、前作の最大の魅力であった論理の積み上げという点においては同じ楽しみを得られなかった。ただし、最後まで読み終えると、「ああ、そういうことだったのか」という納得感は得られるため、それなりに満足感はあった。

前作ではルナリアンが人類の祖先であったことが明らかとなったが、本作ではそのルナリアンの起源が明らかとなる。ガニメアンという“理想像”については、正直に言って、白々しい程の“つくりもの感”があるのだが、その性質を獲得するに至る進化の過程を左右する因子を周囲の環境に求める考察は非常に面白かった。ルナリアンの起源という“結末”よりも、地球人とガニメアンを隔てる中盤の進化論的な話の方が、明らかに“解き明かされた感”があった。

“科学”の部分については納得感のある考察がなされているものの、それ以外の“設定”については少々疑問が残った。肉食獣から進化した地球人文明の発展にはその競争心が根底ある一方で、草食動物から進化したガニメアンにはこれがない。前者は地球人である三十郎氏にとって親しみのある考え方だが、では、後者が何を動機として発展を遂げたかと言うと、純粋な好奇心や社会貢献の欲求と設定されており、都合よく片付けられてしまっているような印象を受けた(「そうじゃない奴は精神異常者だから治療すればいい」というのもディストピア的で怖い)。三十郎氏がオールドタイプな地球人だから理解できないだけなのか。