Aftershock, 89min
監督:ニコラス・ロペス 出演:イーライ・ロス、アンドレア・オズヴァルト
★★
概要
チリで地震が起こる話。
短評
チリが舞台の地震映画。テンポよくイベントが発生するので退屈はしないのだが、エログロの描写が生ぬるくてイーライ・ロスらしくないと思っていたら、彼はそもそも監督ではなかった。とは言え、序盤のコミカルな雰囲気からの転換が上手く機能しておらず、地震発生後のシリアス展開にも「イーライ・ロスが悪ノリでバカなことやってんな~」としか思えなかった。その割には悪ノリにも徹し切れていないという中途半端な映画である。どう楽しむのが正解だったのだろう。
あらすじ
チリ旅行にやって来たグリンゴ(イーライ・ロス)、ポヨ、アリエルの三人組。現地のナイトクラブで出会ったカイリー(ロレンツァ・イッツォ)、モニカ(アンドレア・オズヴァルト)、イリーナ(ナターシャ・ヤロヴェンコ)の美女三人組のナンパを見事に成功させ、パルパライソへと移動するも、彼らがクラブで楽しんでいる最中に巨大な地震が発生し、建物が崩れ落ちていく。
感想
ポヨの(ない)髪とヒゲの組み合わせが『ハングオーバー!!2』のアランっぽいこともあり、地震発生までは阿呆男三人組の珍道中である。その割には爆笑できるようなネタはなかったものの、グリンゴが「服装で子持ちだと分かる」と言われていたシーンだけは好きだった。そんな阿呆かつ外見も優れない三人組ではあるが、ポヨの金の力とカイリーの姉モニカに対する反発心を利用してナンパに成功する。奇跡である。この六人の組み合わせは本当にアンバランスであり、もし街で見かければ、金の力の存在を疑わずにはいられないだろう(実際に半分はそうなのだが)。
イーライ・ロスとロレンツァ・イッツォという組み合わせのため(グリンゴが口説いて失敗するのはイリーナだが)、どうしてもイーライ・ロス監督作品のように感じられてしまう。したがって、地震の発生後にケーブルカーの落下による死亡や崩壊した刑務所から脱走した囚人たちの暴動といった“ありえそうな”イベントを畳み掛けて雰囲気のガラッと変化させても(「現実的にあり得る」というよりも「映画的に定番」という気がするが)、全てが半分悪ノリで笑わせにきているように感じられ、どうにも緊迫感が出ない。イリーナがレイプされるシーンもおっぱいの一つすら見せておらず、“極限状況”という印象を全く受けなかった。
良かった点があるとすれば、展開の意外性だろうか。イーライ・ロスとロレンツァ・イッツォの知名度が抜きん出ているため、彼ら二人が“主人公”なのかと思いきや、割とあっさりと死ぬ。この一人ずつ死んでいく展開は好きだったのだが、最後に生き残った一人もまた死からは逃れられないという結末まで見てしまうと、どうしても『ファイナル・デスティネーション』の劣化版という印象は避けられなかった。やはりブラック・コメディということでよかったのだろうか。正直なところ、何でも笑ってしまう三十郎氏は自分の感性に自信がない。
他に書くことも思い浮かばないので、ワイナリーのガイドのお姉さん(イグナシア・アラマンド)のインスタ垢でも載せておく。