オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『メカニック』

The Mechanic, 92min

監督:サイモン・ウェスト 出演:ジェイソン・ステイサムベン・フォスター

★★★

概要

殺し屋の師弟。

短評

ステイサムがクールな殺し屋を演じた一作。1972年のチャールズ・ブロンソン主演作のリメイクらしい(知らなかった)。現場に髪の毛一本の証拠も残さぬプロフェッショナルな、冷徹に任務をこなしていく殺し屋の役がよく似合っていた。展開自体は「こうなるだろうな」と思った通りになるのだが、メインになりそうな部分を結末に持ってきており、やたらと感傷的になることを避けた辺りに殺し屋映画の美学を感じられて格好良い。

あらすじ

凄腕の殺し屋アーサー・ビショップ(ジェイソン・ステイサム)。カルテルのボスの暗殺に成功した彼に届いた次なる依頼は、旧知の仲の恩人ハリーの抹殺だった。アーサーは組織を裏切ったというハリーを渋々ながらも殺害したものの、ハリーの息子スティーヴンが父の死の真相を知らぬまま彼に弟子入りを請う。

感想

冒頭の展開を見るだけで、「実はハリーは裏切ってなくて組織の方が裏切っていた」と「スティーヴンがアーサーに敵討ちを挑む」の二つが待っていることは明らかだろう。実際にその通りになるのだが、アーサーがハリーを殺した負い目からスティーヴンとの距離感に葛藤を抱えたり、“宿命の対決”を大げさに演出するといった分かりやすい描写は極力控えられている。アーサーの行動の根底には当然負い目があるのだろうが、二人はあくまで“仕事”の中での関係に徹しており、無駄なドラマを作らないことで繊細微妙な関係を演出している。

自らの師匠を殺し、師匠の息子を弟子として育てる。自らが仕込んだスキルで襲われるという皮肉な展開は、ある意味ではアーサーに“跳ね返ってきた”ものとなるわけである。この師弟対決が割とあっさりと終了しており、アクション映画としては少々物足りない気がするものの、拳で語り合うというのも殺し屋らしくなく、必要なことだけをして方を付けるという展開の方が、“らしく”あると言えるか。オリジナル版の方は未見だが、きっとあの時代特有の“シブい”一作に違いない。

トランスポーター』のフランクのイメージが強いのか、ステイサムは本作でも“自分の秩序”の中で静謐に生きる男を演じている。同作と同じく彼の邸宅で非常に素敵だったのだが、まさか爆破するためのセットだとは思わなかった。もったいない!

もったいないと言えば、クールに任務をこなしていくステイサムは格好いいのだが、彼の身体能力を活かした印象的な動きは見られず、これも少々惜しい気がした。もっとも、それをやってしまうと物語の雰囲気を損なってしまうので、「それが見たいなら他の映画を」と考える方が賢明かもしれない。

アーサーがバーで飲んでいると、セクシーな美女(ミニ・アンデン)に声を掛けられ、そのまま自宅に直行して交わる。流石は世界一格好いいハゲである。後日、グダグダな初仕事(事故に見せかける方針はどうなった)でボロボロとなったスティーヴンとアーサーが飲んでいると、件の美女と再会し、アーサーは弟子を残してバーを立ち去る。師匠を美女に取られてしまったスティーヴンが引き続き飲んでいると、顔の怪我を見て「私もイジメてほしいわ」と誘いを掛けてくる女(クリスタ・キャンベル)がいるのだが、師匠の相手と比べて明らかに不美人である。格差ここに極まれり。これが彼の復讐を後押ししたのかは定かでない。

「メカニック」は殺し屋の隠語である。ウェブサイトの「メカニック募集」という広告をクリックすると標的の情報が見られるのだが、関係者以外も閲覧できるような状態にしておく理由はあるのか。

メカニック (字幕版)

メカニック (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video