オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『霊幻道士Ⅹ 最強妖怪キョンシー現る』

至尊先生(Mr.Zombie3), 101min

監督:グオ・ヤーポン 出演:チン・シュウホウ、スン・ハオ

★★

概要

ハオ道士vs妖怪山魈。

短評

霊幻道士シリーズの10作目。『霊幻道士Q 大蛇道士の出現!』の続編である。前作の内容からも察してはいたが、やはりキョンシー詐欺だった。今回も戦う相手は妖怪である。前作と同じく全てのギャグが絶望的なまでにスベり倒していて辛くなってくるものの、本作では中年カップルではなく二組の若いカップルが中心となっているため、“女性陣の可愛さ”という見所に救われた(外伝の『キョンシー退治局』と同じパターンだが、シウハーちゃん程にはフォーカスされない)。また、取ってつけた感がビンビンではあるものの、一応は話もなんとかまとまっていたと思う。

あらすじ

キツネの妖怪(叶思浵)の封印に成功したハオ道士。風水的に埋葬には向かない西山の工事現場から棺が出土したと聞きつけ、弟子のモンチョイと調べに向かったところ、それは封印されし妖怪の山魈だった。道士はそのまま封印しておくように主張するが、出世を目論むフー隊長が万博に出品しようとし、妨害する二人は逮捕されてしまう。その一方、店番として残されたチュウサムは、モンチョイが恋人アーシャン(肖玉鑫)と結婚するために必要な結納金を手に入れるため、妖怪の黄妖(尤梦涵)に会いに行く。

感想

前作の内容をきっちりと覚えているわけではないのだが、「あれ?設定変わってない?」と思う箇所がいくつかあった。復活してしまった山魈を封印するため、ハオ道士は次の三つのアイテムを集めるように弟子二人に言いつける。一つ目は、若い女の腹掛け。二つ目は、黒ロバの蹄。三つ目は、童貞の尿。この内の三つ目は道士自らが提供するのだが、前作で熟女と交わっていたのではなかったか。道士には妖怪の妻がいて、道士を救って死んでしまったということになっていたが、そんな設定はあっただろうか。もっとも、前作を見直して確認する気にもならないし、まあ、どうでもいいか。

若い女の腹掛けは、モンチョイが入浴中のアーシャンから盗み出そうとする。アーシャンが可愛いのでありがたいシーンではあるものの、体に巻いたタオルが写り込んでしまっていた。これは編集で回避できる残念さだろうに、もっとこだわれ。黒ロバの蹄はメスのものを使ってしまって逆効果となっていたが、道士よ、オスの指示はもっと強調して伝えるべきだと思うし、使う前に確認しろ。

チュウサムが美人妖怪の黄妖(後にスースーと命名)に惹かれ、人間の男と妖怪の女の“ロミオとジュリエット”が繰り広げられる。前作の中年カップルよりはビジュアルが良い分だけマシだが、陳腐なイチャつきを見せられて退屈だった。霊幻道士の新シリーズはやたらと恋愛パートに時間を割きたがるのが不満なのだが、一応は彼女が山魈との最終決戦で助太刀してくれるという展開で話がまとめられており、完全に無駄ではなくてよかった。

三十郎氏の知るキョンシーとは明らかに異なる妖怪の山魈。三十郎氏のキョンシーに対する理解が間違っているだけで、“復活した死体”は、それが人間ではなく妖怪であっても全てキョンシーとして扱うものなのだろうか。女性出演者のビジュアルが大幅に向上しているのとは対称的に、山魈の特殊メイクは酷いの一言である。復活して逃亡した山魈の代わりに“ゴリラのマスク”を被ったモンチョイが万博に出品されるのだが(この時代の中国にゴリラのマスクはあったのか)、はっきり言って、クオリティに大差がないという残念さである。この展開は、制作陣もその低クオリティを理解していたからこその自虐的演出なのだろうか。

女性出演者は皆可愛かったのだが、香港映画の『キョンシー退治局』とは異なり、中国映画の本作では女優のインスタグラム垢を確認できないばかりか、名前の読み方すら分からないのは残念。

本作とは直接関係はないのだが、プライムビデオでは三作目『霊幻道士3 キョンシーの七不思議』をすっ飛ばして四作目『霊幻道士完結篇 最後の霊戦』が無料配信されている。課金して三作目を観ようとは思わないし、三作目を観ずして四作目を観ようとも思えない。