オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『デッド・ノート』

Let Us Prey, 92min

監督:ブライアン・オマリー 出演:ポリアンナマッキントッシュリーアム・カニンガム

★★★

概要

死者の名前が記されたノート。

短評

漫画のデスノートを全力でパクリにいったかのような不穏な邦題を持つ一作だが(元々は『デス・ノート』だったらしい。苦情が入ったか。それとも検索対策か)、これが意外に面白かった。OP映像がばっちりオシャレに決まっていて、「少なくともポンコツB級映画ではないらしいぞ」という心持ちが固まり、投げやりな気持ちにならずに観られる。また、なんとなく正体の予想はついてしまうものの、ノートの持ち主の謎や過激な暴力描写といった“引っ張る要素”がちゃんとしており、最後まで楽しむことができた。

あらすじ

田舎の警察署に配属されたレイチェル。彼女は初日の出勤途中に交通事故を目撃するも、被害者がその場から消え去っていた。とりあえず被害者なきままに加害者のシーザーを署に連行して勾留していると、同僚が被害者と思しき怪我を負った男(リーアム・カニンガム。ゲースロのダヴォス)を連れてくる。しかし、指紋で彼の身元を照会したところ、既に死んでいるはずであることが判明する。彼の持っていたノートを調べると、そこに名前を記された者たちは既に死んでいることが分かり、警察署内でも不可思議な現象が起こりはじめる。

感想

“触れた相手の過去が見える”的な特殊能力を持ったおっさんアレクサンダー(仮)。これだけならよくあるサイコメトリーなのだが、“見たことが相手に伝わる”という副次的な能力が本作の特徴と言えるだろうか。見られた者は、「てめぇ、見たな!」と怯えたり怒ったりするのだが、見られて困るということは、それ相応の理由があるという話である。

この“見られて困る者たち”が警察署内には勢揃いしており、彼らが操られるように死んだり、暴走して死んだりする。言ってしまえばおっさんの正体は死神で、漫画のように彼が“ノートに名前を書いたら死ぬ”のではなく、“ノートに名前のある死亡予定者の魂を回収しに来ている”のである。無数に仕事がありそうなのに、わざわざ現地まで足を運ぶなんてご苦労なことだが、仕事の効率化のために対象を一箇所に集めたとしか思えない厄介者の勢揃いぶりが本作の魅力である。

おっさんの治療に訪れたヒューム医師。彼が最初に“見られて”、「うわぁああああ!!!」となる人物なのだが、彼にせよ、次に「うわぁああああ!!!」となるマクレディ巡査部長にせよ、その“罪”が相当に酷い。酷すぎて笑ってしまう。彼ら二人に比べると、仕事をサボってパトカー内で情事に励むワーノックとマンディたちなんておまけのようなものである。彼らは二人とも、“家”の描写によって罪が発覚するのだが(前者は警察が自宅を訪ね、後者は帰宅する)、「男の正体は何なのか」という謎を中心としたホラーから終盤の怒涛の展開へと繋ぐ役割を上手く果たしていた。

ヤバい二人の内、マクレディ巡査部長の方が特にヤバくて(罪の内容は医師の方が酷いと思うが)、最後は“殺人鬼と戦う系”の話になる。裸の上半身に有刺鉄線を巻きつけ、ショットガンを手に署に舞い戻ってきた巡査部長の姿は清々しいまでにやり過ぎで、ホラー映画としてはそれまでと全くタイプの異なる恐怖描写で楽しませてくれた(怖さとは別の意味でだが)。本当にいい感じに狂っていて、彼には是非、本作のMVPをあげたい。

デッド・ノート(字幕版)

デッド・ノート(字幕版)

  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: Prime Video