オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『テリトリー・オブ・ザ・デッド』

Killer Weekend(Fubar), 84min

監督:ベン・ケント 出演: マーク・ヒープ、ショー・ヴェリー

★★★

概要

ゾンビ退治体験サバイバルゲーム

短評

ゾンビが一体も出てこないイギリス製ゾンビ・コメディ。これは“ゾンビ詐欺”ということになるのかもしれないが(果たして「ゾンビ映画」と呼んでよいのか)、終始グダグダなくだらなさは嫌いじゃなかった。ゾンビ退治体験サバゲーに参加すると……という流れで本物のゾンビが出てこない展開自体の意外性、ゾンビとは別の意味で大変な事態になっているのに大事ではないかのようにバカ話を続ける間抜けさ。程よい“ヌケ感”と底の浅さが愉快な阿呆映画である。

あらすじ

結婚を控えるサムと共にゾンビ退治体験サバイバルゲームにやって来た8人の仲間たち。本格的な教官による訓練(=ガイダンス)を経て、元軍人たちが扮するゾンビが待ち受ける森へと出発する。二手に分かれてゾンビ退治を楽しむ一行だったが、サムがゾンビに襲われたはずみで本当に“殺して”しまい、死体を隠蔽することに決める。

感想

「仕方がない。埋めよう」からの、サバゲーとは無関係な民間人や別のゾンビ(役)まで殺してしまい、それらも隠蔽。しかし、それも発覚してしまい、ゾンビ(役)たちと対決する流れである。この種の「殺しちゃった。どうしよう」という状況を迎えた時、普通はもっと焦るものだが、私物を漁ってみたり、即席葬式をしてみたりと、むしろ死者を冒涜するような行動をとって「これで解決」としてしまう。焦りが更に状況を混乱させるのが常道かとは思うが、ここまで阿呆だと却って清々しい。

人の死を何事でもないかのように振る舞うサムたちは(特にマイルズ。「猿の精子」はセンスがないと思う)、倫理観の欠片もない、実に阿呆映画らしい連中である。彼らの態度と状況のギャップが、“常に減らず口を叩いていないと死んでしまうイギリス人”といった感じで良かった。

全員阿呆ではあるものの、特に阿呆なのはデブのエリックである。斥候を務めるなど、やたらと張り切るデブの彼は、最初の犠牲者スティーブがまだ生きていたのに、“頭にナイフ”という伝統的ゾンビキル・スタイルでとどめを刺してしまう。その後、スティーブのスマホを回収し、マッチングアプリで遊んでいるのが可笑しかった。「やった!マッチした!」からの「でも、これスティーブの垢だ」の流れが、人を殺した後に何をやっているのか分からなすぎて最高である。なお、エリックにとってのマッチングアプリは、“女にナニの写真を送るもの”と定義されているらしい。美人だと1日に15人からナニの写真が送られてくるそうである。三十郎氏には自分のナニを見てほしいという感情がよく分からない。ナニの写真は送らないので三十郎氏とマッチしてほしいものだと思うが、そもそもマッチングアプリを使っていない。

三人を殺した末に辿り着いた合流地点の燃料庫で新郎サムを待っているストリッパーのダイヤモンド巡査(キキ・ケンドリック)。サービスを受けても喜べない程度に“熟して”いらっしゃるように見えたのだが、あれは呼んだエリックの趣味なのか。サムよりもジェラルド(偽)中佐向けだったように思う。どうして誰もツッコまないのか。イギリスでは普通なのか。彼女が下着を脱がなくてよかった。

本作のゾンビ退治サバゲーを実際に運営するとなると、人件費の関係で参加料もかなり高くなると思うのだが(しかも開催は週末だけ)、それはそれとして楽しそうだった。サバゲーを隠れ蓑にして薬物を精製しているというのは、実はなかなか上手い設定なのではないかと思う。