オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『俺たちハングオーバー! 史上最悪のメキシコ横断』

Search Party, 93min

監督:スコット・アームストロング 出演:アダム・パリー、T・J・ミラー

★★

概要

花嫁を追う花婿を追う話。

短評

ヒット作のタイトルを邦題が全力でパクりにいったマイナー映画がまともな作品のはずはない。バチェラー・パーティーでご乱心して二日酔いするわけでもなく、ウィル・フェレルが出演しているわけでもなく、「メキシコ横断」とあるが国境付近の町まで行くだけという清々しいまでの邦題詐欺だった。超低予算なのかと思いきや、配給がユニバーサルなことに加えて顔を知っている出演者も多く、一瞬だけ「もしかしていけるのか?」と期待してしまったが、バカ映画の割には妙にテンションが低くて笑えなかった。

あらすじ

結婚式の前夜。新郎のナルドはハイになった勢いもあり、エヴァンとジェイソンの親友二人に不安を漏らす。しかし、彼のマリッジブルーを必要以上に深刻に捉えたジェイソンが結婚式を妨害してご破産に。ショックを受けて一人ハネムーンに旅立った新婦トレイシー(シャノン・ウッドワード)を追ったナルドはカージャックに遭い、全裸でメキシコに取り残される。そんな親友のヘルプ要請を受け、エヴァンとジェイソンもメキシコへと向かう。

感想

マリファナを吸いながら独身最後の夜を過ごし、新郎が「橋から飛び降りる気持ち」とまで言うのに、「バカ騒ぎしようぜ!」とはならず、恋人が迎えに来て大人しく引き渡す。『ハングオーバー!』の逆を突くかのような冒頭である。阿呆担当のジェイソンが『卒業』さながらに結婚式に乗り込んできて、「ナルドを愛してるから止めにきた(ゲイじゃないよ)」と言い出す。トレイシーを追ったナルドが全裸で電話してくるシーンまでは、少々静かな立ち上がりではあるものの、「普通にいける」と予感させる序盤である。

このようにちょこちょこと笑える要素はあるものの、やっていることのバカさ加減に比して演出のテンションが低く、どうもノリきれない。「現地に行かなくても送金して解決だ」と真っ当な解決手段を見つけ、(無理やりな感じはするが)深夜送金に対応しているカジノへ。ここで会社の気になる同僚エリザベス(アリソン・ブリー)を誘えずにいるエヴァンが練習とばかりに美女(クリステン・リッター)をナンパし、彼女に“腎臓”を取られそうになる。ジェイソンが元カノ・ポカホンタスローサ・サラザール)と救出に向かう展開まで含め、非常に阿呆でしかないのだが、どこか“振り切れていない”ように感じられるのである。

その後も、全裸のナルドがコカインまみれになったり、エヴァンの車が爆発炎上下のでエリザベスのスマートカーを盗んだり(こちらも爆発する)、雑なストーリーはともかく、くだらなくて笑えそうなシーン自体は多いのだが、不思議と笑えなかった。鶏と卵の関係ではあるものの、テンポも悪く感じられた。

演出にキレや勢いが感じられないのに加えて、キャラクターの魅力が薄いことも大きかったように思う。やはりアランは偉大である。ジェイソンが彼のポジションに該当するのだろうが、単に阿呆という以外に共通点はなく、観客の斜め上を行く行動を見せてくれない。圧倒的に“突き抜け”が足りないが、逆に彼のローテンションな笑いを活かすには物語がバカすぎる。常識人役のエヴァンがトラブルに巻き込まれることで沸き起こる笑いも少なく、ナルドの“全裸芸”が光っているくらいだった。

EDロールの途中と後に二度の“おまけ映像”が挿入されるのだが、そのどちらも“なくてよい”レベルのつまらなさというのが、本作の微妙さを象徴していたように思う。

リゾートにいる“首にコルセットを巻いたおっぱい要員”はSteffie Grote。残念ながらインスタは見つからなかった。