オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アナザー』

La dame dans l'auto avec des lunettes et un fusil(The Lady in the Car with Glasses and a Gun), 94min

監督:ジョアン・スファール 出演:フレイア・メイヴァー、バンジャマン・ビオレ

★★

概要

秘書が上司の車を拝借して海に行く話。

短評

ステイシー・マーティンが出演しているフランスのスリラー映画。彼女が出ているので100円セールの時にレンタルしようかと思ったが、しなくてよかったというレベル。主演のフレイア・メイヴァーは可愛くてセクシーだし、映画全体にもオシャレな雰囲気がある。それらの点については良かったものの、二重人格を匂わせる描写が数多くあるのでフランス映画らしく哲学的な内容なのかと思いきや、普通にミステリーとして片付いてしまい、なんだか拍子抜けした。

あらすじ

上司から自宅泊まり込みでの清書作業を依頼された秘書のダニー(フレイア・メイヴァー)。翌朝、空港まで同行して車を自宅へと回送するように頼まれた彼女は、ふと海を見に行きたくなり、車を拝借して南部ニースへと足を伸ばす。しかし、そこで出会った人々が皆、昨日彼女に会ったと言い出す奇妙な事態が続き、遂には殺人事件に巻き込まれてしまう。

感想

原作の『新車のなかの女』は1966年のフランスの小説で、1970年にフランスで映画化、1976年には日本でテレビドラマ化されているそうである。映画を観る前にこの事実を知っていれば、「日本のテレビドラマになるくらいだから小難しい哲学的な話ではないだろうな」と察したことであろう。日本のテレビドラマになるような話をフランス映画的に“それっぽく”演出していて、“それっぽい”部分は面白いけど……という一作である。

ダニーがやたらと鏡に写った自分に話し掛けたり眼鏡を変えると性格が変わる風だったりする演出や、フランス映画らしいオシャレな雰囲気(と邦題)に騙されてしまったものの、結局はシンプルなサスペンス&ミステリーだった。オチは無理がありながらも一応は綺麗にまとまっていたと思うものの、ここまで引っ張られると、(あまり得意ではないのに)内省的な話でないと物足りないように感じられてしまう。なお、パッケージのようなゴリゴリの“B級スリラー”っぽさは全く無い。この点でも裏切られ、少々面食らった。

旅先で次々と「昨日も会ったよね」と話し掛けられ、更にはジョルジュという男に付きまとわれるようになり、遂にスリリングな展開が始まるのかと思いきや、ダニーはあっさりと彼を受け入れて交わる。ミニ丈のワンピースからスラリと(そして適度な肉付きで)伸びた脚(これを拝むための一作と言っても差し支えない)や試着中の下着姿がとってもセクシーだった彼女の裸が拝めたのは大変にありがたかったのだが(スケスケパジャマやパンツ+シャツの寝起きの姿も良い)、行動が突拍子もないと言うか、人物像が掴めなくて戸惑った。これも二重人格路線のミスリードだったのかもしれないが、なんとなく“ノリきれない”。その影響もあって、予想とは違っていた結末を受けても「ふーん」としかならなかったのだと思う。

イギリス人なのにフランス語を流暢に操っているダニー役のフレイア・メイヴァーが脱いだとあれば、上司の妻アニタを演じるステイシー・マーティンもやはり隙あらばと脱いでる。流石である。ダニーとアニタは会社の同期で、かつては仲が良かったようだが、アニタは上司を射止めて退職。それでいて、ダニーは上司とのロマンスを妄想していたりする。この少々鬱屈した関係性の描写は好みだったのだが、物語の展開にはあまり活かされていなかったように思う。

オチの説明は画面分割を使用して分かりやすく演出されていたが、流石に喋り過ぎである。この強引な“勝手に自白型”の終わらせ方にもテレビドラマ感があった。説明が一通り終わった後に西部劇風のBGMで謎の“やったった感”を出しているのは笑える。

アナザー(字幕版)

アナザー(字幕版)

  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: Prime Video