オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『七福星』

夏日福星(Twinkle Twinkle Lucky Stars), 94min

監督:サモ・ハン・キンポー 出演:サモ・ハン・キンポージャッキー・チェン

★★

概要

パタヤ旅行と劇団員の護衛任務。

短評

福星シリーズの三作目。今回は前作と話が繋がっていた(ただし、デブが「ツォイ」と呼ばれている)。元より“本編不在”で脈略のないコントを繰り広げるタイプの作品ではあったのだが、三作目ともなると続編の制作自体が自己目的化してきた感がある。「舞台を変えて同じ事をしてみました」というだけのプログラムピクチャーの弊害が目立っていた。セクハラ芸だけは相変わらず好きだったが、“事件”の方のデブ不在感が強く、バランスが悪くなっている。

あらすじ

ウー刑事(シベール・フー)に連れられ、タイのパタヤ・ビーチへとやって来たデブ(サモ・ハン・キンポー)たち。水着美女へのセクハラや呪術修得を楽しむ五人だったが、(バズーカも登場するド派手な)暗殺事件に巻き込まれてしまう。香港に戻った一行は、暗殺グループの次なる標的とされる劇団員ウォン(ロザムンド・クワン)を匿うようにウーから依頼される。

感想

ダンディが「僕は仕事がある」と言い出し(これはメタ発言なのか。彼の“仕事”をウー刑事は看過してよいのか)、パタヤ旅行に同行しない。その代わりにロミオという顔と性格がダンディに似ている新キャラクターが特に説明もなくデブ軍団に加わっている。こういう強引な変更を見せられると、「そこまで無理して続けなくてもいいのになあ……」と残念に感じられるのだが、そうもいかない事情があるのだろう。本作の後、『十福星』に続いてサモ・ハン不在の三作品までもが制作されたくらいだから、きっと需要があったに違いない。

“セクハラ路線”が加速していた。パタヤではビーチにトンネルを掘って美女の下に潜り込んだり(皆はデブに邪魔されたと怒っていたが、彼のおかげで“触れ合えた”ので感謝すべき)、笑い話にウケるどさくさに紛れて抱きついたりしている。セクハラ相手も香港人でタイらしさがなく、何のためのパタヤだったのかはよく分からないが、刺客が“レディボーイ軍団”だったのがタイ要素か。なお、“彼女たち”は単なる女装らしく、金的攻撃が有効だった。効かなくてビックリする演出があっても面白かったのに。

パタヤから帰国後の香港でも、軍団と生活することになったウォンに対してウー刑事へのそれを上回るセクハラが繰り広げられる。ウー刑事もウォンも「変わっているけど悪い人たちじゃない」と言っていたが、現代基準だと完全に悪人である。ウォンへのセクハラ。喧嘩を装って止めに入る彼女に抱きつくというウー刑事への“強盗作戦”の劣化バージョンに始まり、火事を装って「服が燃えないように濡らさなきゃ!」と指示する“スケスケ作戦”(当初は“服でロープ作戦”だったが、「シルクは破れやすい」と拒否されたので変更。機転が利いている)。後者は本当に透けていてありがたかった。トイレでスナイパーと遭遇してしまったウォンが“盲目”を装って気付かない振りをするシーンがあり、トイレの扉を開けたままにして見張るスナイパーの前で堂々とパンツを脱がざるを得ないという制作レベルのメタなセクハラ演出も見られた。食卓での会話はよく分からず。

『五福星』では“イジられキャラだけど実は強い”という役だったサモ・ハン・キンポーが、『六福星』で“リーダーキャラ”へと昇格し、本作では“ひたすら美味しいところをもっていくキャラ”になっている。監督と主演の兼任だからと言って、少々やり過ぎではなかろうか。彼が“格好いいところを見せる”相手役となる柔道の先生がミシェル・ヨーだったり、マッスルとリッキーと共に麻薬取引の現場に乗り込む刑事がアンディ・ラウだったりして、キャストは豪華になっていた。

ブルが自分の年齢を「28才96ヶ月」と表現するネタが笑えた。“永遠の17才”のようなものか。

七福星(字幕版)

七福星(字幕版)

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