オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『香港発活劇エクスプレス 大福星』

福星高照(My Lucky Stars), 96min

監督:サモ・ハン・キンポー 出演:サモ・ハン・キンポージャッキー・チェン

★★★

概要

犯罪者チームの捜査:日本編。

短評

日本が舞台となった福星シリーズの第二作。てっきり“続き物”なのかと思っていたので、“似た設定の全く別の話”で驚いた。前作と同じくストーリーとは関係のないコントが繰り広げられるアクション・コメディではあるものの、本作の方が“ストーリーの枠内”に収まっていた印象である。いずれもコメディ主体ではあるものの、三十郎氏のカテゴライズでは前作が「コメディ映画」、本作が「アクション映画」と分けられる。

あらすじ

1億ドル相当のダイヤ強奪犯を追って日本にやって来た刑事のマッスル(ジャッキー・チェン)。しかし、現地のヤクザに相棒リッキー(ユン・ピョウ)が拉致されてしまい、施設時代の仲間で現在は収監中のデブ(サモ・ハン・キンポー)の応援を要請する。デブは四人の仲間と美人刑事ウー(シベール・フー)を伴って日本へと向かう。

感想

前作ではキャラクターの名前に表記ゆれがあったが、それは本作でも健在である(名前の表記が違うだけで同じキャラクターということはない)。プライムビデオの字幕で「デブ」となっているサモ・ハン・キンポーは「デブゴン/キッドスタッフ/Kidstuff/Fastbuck」、イケメン宝石泥棒「ダンディ」は「ハーブ/ハンサム/Herb」、間男と勘違いされる強盗「ブル」は「ローハイド/ヒゲ/Rawhide」、精神病を装って三食付きの病院に入院中の「サイコ」は「サンディ/念力/Sandy」、阿呆な新人の「キウイ」は「ラウンドヘッド/ウスノロ/Roundhead/Blockhead」と、それぞに複数の名称が与えられている。

相変わらず紛らわしいが、ちょび髭がお揃いで見分けのつきにくかったブル役フォン・ツイファンとサイコ役リチャード・ンを区別できるようになったのが今回の収穫だろうか。前作とは別のキャラクターではあるのだが、イケメン宝石泥棒の役柄がそのままだったり、前回は透明人間になろうとしていたサイコが“念力”を使おうとする場面があったり、ある程度の設定は引き継いでいるようだった。その一方で、“イジられ役”だったデブが“頼れるリーダー”へと変貌し、「五福星」の数にカウントされていなかった女性メンバーが正式に仲間扱いされている(「六福星」にはなっていないが)。

極秘捜査の一環でデブたちのチームの一員になった刑事ウー。コードネームは「フラワー」である。性欲を持て余した男たちが強盗を装って一人ずつ彼女と一緒に縛られてみたり(デブとキウイが特に美味しい思いをしていた)、“肉布団”を仕掛けられたりと、様々なセクハラ被害に遭っていた。とてもバカらしくて笑えたのだが、今だと許されない表現だろう。また、彼女が日本の“マッチョ美女”と“女の戦い”を繰り広げる場面があるものの、最後にデブが介入して一撃KOしている。こちらも現代ならば違った決着になったはずである。

アクションシーンの中では、マッスルがお化け屋敷で戦うものが印象的だった。特に“重力反転部屋”の演出が良い。マッスルはお化け屋敷内で銃をぶっ放していたが、ヤクザとは無関係なキャストに命中したら大変である。映画の序盤には彼のカーチェイスもあるのだが、当時の日本では道路使用の許可が取りやすかったのだろうか(今だと邦画ですら韓国で撮影したりすると聞く)。

最終決戦の時にデブが“黄色のスウェット”を来ていて、これが『死亡遊戯』のトラックスーツとは対称的に全く様になっていない。見た目はだらしないおっさんでしかないのだが、動くと凄いのは流石サモ・ハンだった。ただし、“チビデブ”のキウイが参加したことにより、彼の“デブ”としてのキャラクターが薄れてしまっているのは惜しいと思う。

セクハラ以外のコントの中では、ホテルのレストランで朝食を頼むシーンが好きである。メンバーは英語を話せないために“ジェスチャー”で注文するのだが、キウイが注文した“ソーセージ”のオチも含めて可笑しかった。失礼だろ、忖度しろよ。

“日本描写”については、ヤクザの手下に忍者がいたり、親分がマッスルに写真撮影を頼むところが好きだった。地下鉄のデザインはこの頃から変わっていないのか。