オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『五福星』

奇諜妙計五福星(Winners and Sinners), 108min

監督:サモ・ハン・キンポー 出演:サモ・ハン・キンポー、ジョン・シャム

★★★

概要

五人の刑務所仲間たち。

短評

全七作のヒットシリーズとなったサモ・ハン・キンポー主演アクション・コメディの一作目(二作目が『大福星』でナンバリングが少し分かりづらい)。少々本編不在気味でストーリーとは無関係なコントやアクションシーンが続き、そこまでの人気を獲得した理由は正直に言うと分からなかった。しかし、ジャッキー・チェンらも顔を揃えたハイクオリティなスタントと間の抜けた日常パートの奇妙なバランス感は悪くなく、平和に楽しめる一作ではあった。

あらすじ

それぞに泥棒や窃盗、政治犯の罪で収監されたキュウス(サモ・ハン・キンポー)と四人の囚人たち。刑務所で仲良くなった五人は、出所後、共に清掃業者を営むことにする。活動家ジャックの妹メイ(チェリー・チェン )も交えて働く五人だったが、ひょんなことから偽札を巡るギャングの抗争に巻き込まれてしまう。

感想

サモ・ハン演じるキュウスの名は、茶器の「急須」の意味である。プライムビデオの字幕では「キュウス」表記になっているが、Wikipediaでは「ポット」、IMDbでは「Teapot」となっており、広東語で何と言っているのかは分からない。他のキャラクターについても、活動家ジャックが「モジャ/Curly」、イケメン窃盗犯ラムが「ワセリン/Vaseline」と違っており、更には“吹替版の名前”まであるらしい。統一してほしいものだと思う。

ギャングのボス・チウが五人組と同時に仰々しく出所するため、この男が物語に絡んでくるのだろうと思っていたら、最終盤に“見せ場を作るため”に出てくるだけ。基本的にはジャックの美人妹メイ(確かに可愛い)を巡る恋模様といった“牧歌的”な出所後の日常風景描写がメインとなっている。インドの秘術書的な『透明人間入門』を読んで透明人間になろうとする場面なんて、何の脈略もなく挿入される意味不明なシーンなのだが、皆で“ノッてあげる”展開なんかは可笑しくて(メイのノリの良さが凄い。泡を吹き飛ばそうとするのが特に好き)、映画全体に妙な微笑ましさがあった。

ジャッキー演じる熱血刑事7086号。張り切って犯人を追っては左遷されることになるドジっ子である。彼が街中で同じく刑事の男(ユン・ピョウ)と喧嘩したり、ローラースケートの大会に出場したりする場面も脈略がなさすぎてポカンとなるのだが、そこは流石ジャッキーで、動きの凄さで圧倒していた。彼が追跡劇を繰り広げた挙げ句に50台を巻き込むこととなったカークラッシュのシーンは相当に気合が入っており、コミカルなストーリーとのギャップが凄い。

とは言え、やはり主演はサモ・ハン・キンポーである。“動けるデブ”のイメージを確立した彼のカンフーにはキレがあるのだが、スタントの中にコミカルな動きを取り入れているのが印象的だった。特に気に入ったものが二つあり、一つ目は、冒頭で泥棒に入ったことがバレて彼が逃亡するシーン。ロープを張って見事に逃げたかと思いきや、その行き先は警察車両にストレート・インである。二つ目は、7086号と共にフードコート強盗に立ち向かうシーン。ヒップ・アタックならぬ“腹アタック”を決めている。キュウスたちがギャングと大乱闘を繰り広げる最終決戦で、チウが「突っ立って撃つだけか」と手下をけしかけ、あえて相手の土俵に立たせる展開も笑えた。香港ではカンフーをもって相手を制さねば、勝ったことにならないのだ。

五福星(字幕版)

五福星(字幕版)

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