オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ワーキング・ガールズ』

Filles de joie(Working Girls), 90min

監督:フレデリック・フォンテーヌ、アンヌ・パウリスヴィック 出演:サラ・フォレスティエ、ノエミ・ルヴォヴスキ

★★

概要

三人の娼婦。

短評

2020年のベルギー・フランス合作映画。1987年に同名の、同じく娼婦を扱ったアメリカ映画が制作されているようだが、未見のため関連は不明である。映画は“事件”から始まり、そこに至るまでの背景を描いていくのだが、特に必然性があるわけでもなく、娼婦たちがそれぞれに抱えている事情を淡々と映し出していた。しかし、特に印象的なエピソードがあるわけでもないため、「売春してるくらいだし、そりゃあ複雑な事情くらいはあるでしょうよ」という感想の域を出なかった。

あらすじ

土砂降りの夜、三人の女たちが工事現場に死体を遺棄する。フランスから国境を超え、ベルギーの娼館で働いている三人の女──三人の子供を抱えるシングルマザーのアクセル(サラ・フォレスティエ)は別れた夫に付きまとわれ、黒人のコンソは恋人だと思っていた男にとって多くの娼婦の内の一人でしかなかったことが判明し、ドミニクは反抗期の娘や勃たない夫に頭を悩ませていた。

感想

アクセルの元夫は彼女の“職場”まで尾行してきて、“客”として彼女と交わる。自らの勘違いに気付いて自棄になったコンソは、コカインをオーバードーズして病院に運ばれる。ままならない家族との関係に業を煮やしたドミニクは、「ああ、もう!」とブチ切れる。この三つのエピソードを、順番に、淡々と映し出していくのが本作である。それぞれに複雑な事情があることは理解できるが、想像を超える程ではなく、かと言って上手く感情移入もできなかった。

本作では二つの復讐が描かれている。アクセルとドミニクが共謀して“コンソの男”を脅迫し、「二度と彼女に近付くなよ」と告げるもの。一応は悪党が成敗された形になるのだが、とくに爽快感があるわけでもなく、なんとなく虚しさが漂っていた。その件で連帯感を深めたのか、次の復讐は冒頭に描かれている死体遺棄。これはアクセルの元夫を彼女の母が殴打し、「どうしよう」とアクセルが困っているところでドミニクがとどめを刺したものである。こちらは成り行き任せすぎて“復讐”という感じがしないし、アクセルの母は「任しとき!」と言ったのに殴った後は何もしないしで、どう受け止めたものなのか戸惑った。これでは“男”が消えただけで、彼女たちの生活そのものが変わるわけではないだろう。それ以外に選択肢がないという社会問題に切り込むわけでもなく、三人の友情を描いてそれで終わりでいいのか。

主要な登場人物は三人だが、描かれている復讐は二つである。ドミニクは家族に対して怒りを表明しただけで、あとはアクセルの元夫を殺す“便利屋”扱いである。この点についても「それだけでいいの?」という印象が残った。

アクセルたちが働いている娼館の嬢たちは、全体的に年齢が高めである。特にドミニクは“熟女”の枠からもはみ出しそうになっており、需要があるものなのかと不思議だったが、老人の客がついていた。三十郎氏にはドミニクは“どっしり”し過ぎているが、アクセルの“むっちり”とした尻は素敵だった。“本編”としての娼婦たちの物語には心惹かれる点がなかったものの、彼女たちが“お茶ひき中”に“喘ぎ声選手権”をしてみたり、どんな客が来たのかについて話し合う様子は面白かった。

アクセルたちはフランスから国境を超えてベルギーで働いている。フランスの売春事情を調べてみると、どうやら“買春”に対する規制が強化されているようで、これと何か関係があるのだろうか。