オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『チェブラーシカ』

Чебурашка(Cheburashka), 80min

監督:中村誠 出演:ラリーサ・ブロフマン、ウラジミール・フェラポントフ

★★

概要

謎の生き物チェブラーシカ

短評

顔と名前は知っているが、その実態については何も知らなかったロシアの有名キャラクター、チェブラーシカ。その正体が“正体不明”であると判明したのが今回の最大の収穫である。とぼけた風貌とストップモーションアニメの動きは非常に可愛らしかったのだが、ストーリーの方は“TVアニメの3話編成”といった趣で、“劇場版”的な面白さはなかった。なお、旧ソ連で生まれたチェブラーシカだが、本作は日本で製作された邦画である。

あらすじ

果物屋のオレンジの箱の中で眠っているところを発見された茶色い毛の生えた謎の生き物。何度起こしても倒れてしまうことからチェブラーシカ(=ばったりたおれ屋)と名付けられる。正体不明であるが故に動物園に引き取ってもらえないチェブラーシカだったが、ワニのゲーナや綱渡り少女のマーシャ、意地悪婆さんのシャパクリャクたちと出会う。

感想

『こんにちはチェブラーシカ』『チェブラーシカとサーカス』『シャバクリャクの相談所』の3話編成。この内、『こんにちはチェブラーシカ』がソ連版オリジナル『チェブラーシカ』のリメイクで、残りの二つが新作とのことである。チェブラーシカがオレンジの箱の中から登場した瞬間の「あら、可愛い」がピークであり、その後もチェブラーシカは可愛かったが、逆に言えば“それだけ”という印象は否めなかった。

ソ連版には社会風刺の要素があったようだが、本作はひたすらに“平和な世界で、“子供向けのいい話”から微塵も逸脱していなかった。「皆で仲良くしましょう」「人には優しくしましょう」というメッセージは、本来のターゲットである子供たちにとっては十分なのものかと思うが、やはり三十郎氏にとっては物足りない。3話続けることで何かが見えてくることもないため、“映画”としてではなく、“TVアニメ”として1話目だけを観れば十分だったように思う。

そもそもチェブラーシカ自体が正体不明の不思議な生き物なのだが、彼(?)の住んでいる世界もなかなかに不思議である。ワニのゲーナは動物園で働いているが、退勤時間が来ると家に帰る。彼ら動物たちは人間と会話ができて、普通に共生しているのである。人間と動物は同等の存在らしいのに、何故か“動物園”があるという不思議!“勤務中”に読書をし、客の要望に応えてポーズを取るゲーナが非常にシュールだった。

そんじょそこらのゆるキャラたちでは太刀打ちできないユルい愛らしさを誇るチェブラーシカ。気の抜けた表情や声が非常に可愛らしかったが、その中でも特にキュンとしたのは、駅の階段を上れずにゲーナに助けてもらうシーン。

ちなみに、チェブラーシカのイメージばかりが先行しているが、本来の主人公はゲーナの方らしい。

劇場版「チェブラーシカ」(ロシア語版)

劇場版「チェブラーシカ」(ロシア語版)

  • 発売日: 2020/03/01
  • メディア: Prime Video