オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『道化死てるぜ!』

Stitches, 87min

監督:コナー・マクマホン 出演:ロス・ノーブル、トミー・ナイト

★★★

概要

殺人ピエロの復讐劇。

短評

アイルランド製のホラー・コメディ。ピエロによる多彩な殺人のアイディアと、やたらと“オシャレ”な演出が魅力の一作である。ただし、グロテスクなシーンをアートに仕上げている点は非常に楽しかったものの、ボカシやネガポジ反転によって折角のグロさが軽減されてしまっており、大いに物足りなくもあった。ところが、調べてみるとオリジナル版にはボカシもネガポジ反転もないようで、どうしてこのように持ち味を毀損する馬鹿げた処理を施してしまったのかが大変に気になる。バカバカしさとグロテスクさの対比こそが面白いのだろうに。

あらすじ

10才の誕生日パーティーにやって来たピエロの“スティッチーズ”が転んで死ぬ場面を目撃してしまったトム。その夜、彼はピエロ教団の儀式にも遭遇し、以来、そのトラウマを抱えながら生きてきた。それから6年後、事件の影響でパーティー恐怖症になっていたトムの誕生日パーティーが久々に開かれるも、そこに蘇った殺人ピエロが出現し、あの日のパーティーにいたサラ(Roisin Barron)やケイト(ジェマ=リア・デヴェロー)たちを襲い始める。

感想

恋人とセックスしていて仕事に遅刻し、低クオリティな出し物が客の子供たちから超絶不評なダメピエロ“スティッチーズ”。そのフィナーレは、転んだ先に食器乾燥機があり、その中の包丁が左目に突き刺さるというものである。恐ろしくダメなピエロではあるものの、自ら包丁を引き抜いて血のシャワーをトムに浴びせるエンターテイナーでもあるのだが、再び転び、再び包丁が突き刺さるというやっぱりダメピエロだった。

その後、誕生日パーティー参加者たちの6年後の姿が紹介され、惨劇パーティーの舞台が整う。「親が家にいないならパーティーを開催するのが義務!」というのが欧米ティーンの価値観らしい。なお、誕生日の一人息子を「仕事が忙しいから」と家に残してしまう母親(ヴァレリー・スペルマン)はちょっと酷いのではないかと思うが、彼女がトムの10才の誕生日パーティーで見せた“MILF”ぶりはなかなかのものだった。きっと彼女こそがヴィニーの性癖を形成したに違いない。悪ぶっている割には強烈な非モテのヴィニーだったが、ダイエットしておっぱいだけが大きく残ったメアリー(ローナ・デンプシー)を射止めかけたのは大したものである。夢は叶う!三十郎氏はてっきり、彼が行為中に殺されるものだと思っていた。果たして、助かってよかったのか。それとも、最後までできなくて残念だったのか。

“あの日受けた仕打ち”の意趣返し的な殺人法を披露していくピエロ。その中でも、バルーンアートに文句をつけたリッチーの頭部を“風船爆破”するのが楽しかった。爆発の瞬間がモノクロになっていてグロさが軽減されているものの、他のボカシやネガポジ反転に比べると、アート感の強い映像になっていて(なんとなく『イレイザーヘッド』風)、ここだけは「無駄に綺麗……」と納得できてしまう。ピエロにアイスクリームを投げつけたデブのバルジャーが缶切りで開頭の末に“脳みそアイスクリーム”を作られる演出も好きだったのだが、こちらはボカシのせいで台無しになっていしまっていた。引き抜かれた腸でバルーンアートを作る場面はボカシが入っていたりいなかったりだし、基準もめちゃくちゃである。ヴィニーの陰部が引き千切られる場面も無修正で見たかった。

ケイトのブーツ着用を注意する風紀担当の教師の髪型が凄い。彼に何を注意されても説得力が皆無になる程度には凄い。注意されている時に笑いを堪えるのが不可能な程度には凄い。

道化死てるぜ!(字幕版)

道化死てるぜ!(字幕版)

  • 発売日: 2014/01/11
  • メディア: Prime Video