オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゾンビ・ホロコースト』

I Survived a Zombie Holocaust, 104min

監督:ガイ・ピグデン 出演:ハーレイ・ネビル、ジョスリン・クリスチャン

★★

概要

ゾンビ映画の撮影現場に本物のゾンビが発生する話。

短評

ニュージーランド製のゾンビ・コメディ映画。アイディア自体は悪くないと思うものの、絶望的にテンポが悪かった。「この後、本物のゾンビが出てくるんだろうな」というのは分かりきっているのに、大して面白くもない撮影現場の様子を延々と垂れ流す時間が長すぎる。いくつかのギャグは笑えたし、長すぎるEDロールからも分かるように大量のエキストラを動員したゾンビの大群はそれなりに見応えがあったため、90分以内にまとめた上で、もうひと工夫あればよかったと思う。

あらすじ

映画学科を卒業し、低予算ゾンビ映画の雑用係として雇われたウェズリー。横暴な監督の「S.M.P.」ことスタンリーや、おっぱいだけで新人賞を獲得したヒロイン役のジェシカ(リーニン・ジョアンニンク)に振り回されながらも、食事係スーザン(ジョスリン・クリスチャン)の尻を追いつつ仕事をするウェズリーだったが、撮影現場に役ではない本物のゾンビが出現する。

感想

前半は「新人スタッフが撮影現場で振り回される」というコメディ映画、後半は「本物のゾンビが出現する」というホラー・コメディ映画である。それぞれに笑える箇所はあるものの、前半の伏線(のはずのもの)が伏線として機能し得ない程度には後半の展開が読めてしまうため、ゾンビが出てくるまでの長さにダレてしまった。また、ゾンビの登場後に、その長い“助走”が活きてくるようなこともなく、ただ前後半で分離した物語で尺だけを無駄に引き延ばしてしまった印象である。つまり、編集が絶望的に酷い。

設定から予想される展開から逸れることのない物語ではあるものの、展開から逸れるエピソードは多い。その“余分”は映画の魅力を全く高めておらず、ただ冗長さだけを生んでいる。必要最低限の描写に徹すればよかったのに。

本作には大量のエキストラが出演しているため(EDがロールを眺めていると、同じファーストネームの人の多さに驚く)、彼らが「あっ!ここに私が出てる!」と喜べるようなサービスという側面もあるのだろうが、それは観客の知ったことではない。劇中の脚本家に「ゾンビ映画の撮影現場に本物のゾンビが出てくるなんて、斬新で素晴らしい結末だ!」と言わせて自画自賛しているのだが、この台詞からも分かるように、自己満足のキツい一作だった。

おっぱいの魅力だけで新人賞を獲ったと揶揄されるジェシカ。撮影時には扉を突き破ったゾンビに胸を掴まれ、「後ろに下がれ」と彼女を制した主人公役のマッチョに胸を触られ、「どうせ世界が滅びるなら最後の瞬間まで愛し合おう」という濡れ場まで用意されている、正真正銘の“おっぱい要員”である。しかし、濡れ場の撮影をポンコツ新人のウェズリーが妨害してしまい、ブラジャーを外すその瞬間に撮影が止まってしまう。「これは見せない映画なのかな……」とガッカリしていると、野糞中にゾンビ化した彼女が、その後、雑におっぱいを放り出していた。なお、そのおっぱいは硬そうだった。

濡れ場を妨害したことで女優志望のスーザンと共に代役に挑むこととなるウェズリー。彼の毛むくじゃらボディが酷い。自称非童貞の彼はキスの寸前に勃起してしまい、憧れのスーザンの顰蹙を買うことになる。これはそこまで責められるべきことなのか。果たして、濡れ場の撮影時に俳優たちはどのようにして股間をコントロールしているのだろう。(冴えない薄らハゲのウェズリー程ではないが)スーザンがそれ程美人ではないとは言え、女性とあんなことやこんなことをしていれば、抑えが効かなくなるのが男という生き物である。役に入り込んでいる証拠ではないか。

ゾンビ映画の撮影現場に本物のゾンビが発生する」という基本設定を活かした描写について。監督が「素晴らしい演技だ」と撮影を続行したり、小道具係のランディがゾンビメイクのエキストラを殺害したりする。後者が一人だけで済まないのは無理があると思うが、ランディの間抜けな死に様を見れば納得だった。なお、ここで何故か“首を切る場面”にボカシがかかっている。マッチョ俳優の(粗末そうな)股間にボカシがあるのは分かるが、他にいくらでもグロ描写があるのに、どうしてここだけダメなのか。

ゾンビ・ホロコースト(字幕版)

ゾンビ・ホロコースト(字幕版)

  • 発売日: 2020/05/08
  • メディア: Prime Video