オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『男たちの挽歌II』

英雄本色II(A Better Tomorrow II), 105min

監督:ジョン・ウー 出演:チョウ・ユンファティ・ロン

★★★

概要

ホーたちが偽札事件を捜査する話。

短評

前作のヒットを受けて制作されたというシリーズ二作目。前作で死んでしまったチョウ・ユンファを“双子の弟として復活させる”という時点で、話自体は無理をして作った感がありありである。「戦いたくない男たちが戦わざるを得ない」というテーマ性が根底にはあるものの、全てが最後に大暴れさせるためだけに用意された感は否めない。ただし、その“最後の大暴れ”だけは圧巻であり、そのせいなのか鑑賞後には「まあ、言うほど悪くなかったかな」と思えてしまった。

あらすじ

服役中のホーが“その筋の専門家”として偽札事件捜査への協力を要請される。一度は断るホーだったが、弟キットが捜査に参加していると知り、自身も参加を決意。ホーとは旧知の仲であり、偽札事件に関係していると思われたルンだったが、部下の裏切りに遭った彼をホーがニューヨークへの避難させる。しかし、娘を殺されたルンは廃人となり、精神病院で虐待されていたところを、マークの双子の弟であるケンが救出する。

感想

はっきり言って前半は全く面白くない。前作は説明過小ながらも「背景」としての性質があり、それらのピースが後半になってからハマってくる感覚があった。対する本作はと言えば、まずはホーを前線に復帰させるために無理な設定を一つ作り、その上でチョウ・ユンファを復帰させるために更に二段階ほど上の無理な設定を盛っているのである。敵陣営に潜入したホーがスパイ疑惑を回避するためにキットを撃つ場面なんかはもっと盛り上がってもよいはずなのに、“人気キャラの復活”を前提とした話なのでどうも乗り切れない。

この無理矢理な展開に拍車を掛けているのが、ケンがニューヨークにいるという設定である。なんでもチョウ・ユンファが別の映画をニューヨークで撮影中だったために用意された設定とのことであり、何の必然性も感じられないのも無理はない。彼がショットガンを乱射するシーンは格好よかったが、その際の「ファック・ユー」の発音は酷かった。

ケンの介護と銃撃戦により廃人ルンが回復し、「人は結局生まれた国に帰るんだ」と舞台は再び香港へ。ルンを裏切って偽札製造しているコー陣営と、ホー、ケン、キット、ルン、そして前作で出所後のホーを拾ってくれたキンさんの軍団で戦う展開である。しかし、「ジャッキーが出産間近だからお前は病院に行け」と言われたキットが一人敵の自宅に乗り込んで死亡し(彼は「流れ星は不吉。死ぬ気がする」とフラグを立てるのだが、香港ではそういう扱いなのか。それにしても酷い夫だ)、キンさんは「あんたは帰れ」と追い返され、三人が敵自宅へと乗り込む最終決戦に。ここまでは面白くないのだが、ここからが凄い。

マークの遺品であるロングコートを着込むケン。そこにトレードマークのサングラスが加われば、これは『マトリックス』を思い出さずにはいられない。バッグに大量の銃を詰め込んで運び、二丁のサブマシンガンで敵をなぎ倒す。完全にビルへの突入シーンである。ケンとネオの銃撃姿勢まで一致している。その上、一度は帰ったかと思われたキンさんが武器を持って助太刀し、ホーが日本刀で敵に立ち向かうではないか。完全に『リローデッド』のモーフィアスである。ウォシャウスキー兄弟(当時)はこのシリーズが好きすぎるだろう。思わず笑えてくるレベルの元ネタ発見だった。

もう一つ、『マトリックス』っぽかったのが、敵の無口なヒットマンの存在。(彼は無口ではないが)どことなくエージェント・スミスっぽい。彼と相撃ちとなって弾切れし、絶体絶命のケン。しかし、ここでヒットマンが銃を一丁ケンの方へと寄越し、なんと“早撃ち対決”を促すのである。なんという非合理的行動!でもそれが良い!それがシビれる!

(キンさんを含む)四人組がキットの葬儀に参列し、祭壇の前でそそくさと銃を受け取っている。そこで準備する必要はないと思うが、無駄に格好いい演出だった。この場面で歌が流れているのだが、これが“挽歌”なのか。

男たちの挽歌Ⅱ(字幕版)

男たちの挽歌Ⅱ(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video