オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドクター・ドリトル』

Dolittle, 101min

監督:スティーヴン・ギャガン 出演:ロバート・ダウニー・Jr、ハリー・コレット

他:ラジー賞最低リメイク・続編・盗作賞

★★

概要

動物と話す医者が冒険する話。

短評

三十郎氏の世代にとって「ドクター・ドリトル」と言えば、エディ・マーフィのイメージが強いものの、2020年のロバート・ダウニー・Jr版である。「動物と話すことのできる医師」という設定以外は全く別の物語なのだが、かつてはメソッド・アクターだったはずのRDJは完全に“いつもの役”であり、その意味ではエディ・マーフィと似たようなものだった。少年の視点を入れたことで全てが“子供映画”の文脈に収まってしまい、また、“動物と会話できる”という物語の根幹も、“特殊能力”ではなく“ファンタジー映画の設定”のようになってしまっていた。

あらすじ

動物と会話ができる医師ドクター・ドリトル(ロバート・ダウニー・Jr)。妻リリー(カシア・スムトゥニアク)が冒険中に命を落として以来、彼は失意の内に屋敷で隠遁生活を送っていたが、宮殿から派遣されて来たレディ・ローズ(カーメル・ラニアード)に請われ、危篤の女王(ジェシー・バックリー)を診察する。しかし、女王の治療には“エデンの樹の果実”が必要であり、リスの治療を依頼しにきていた少年スタビンズや動物たちと共に、ドリトルは旅に出る。

感想

『アイアンマン』や『シャーロック・ホームズ』でお馴染みとなったロバート・ダウニー・Jrの“変人役”。本作のドリトル先生は、完全にそれである。彼のウェールズ訛りは酷評されているらしいが、三十郎氏にはそれがどの程度酷いのかは分からない。ただし、訛りの正確性に関わらず、口調だけを変えても“いつもの役”であることには変わりはなかった。話に師弟関係を持ち込んだのも“いつもの感”を助長している(トム・ホランドも犬役で出演)。

「RDJが持てる才能を無駄にして楽な稼ぎ方をしている」「またか……」と思わなくもないが、三十郎氏は両作出演時の彼が好きであるため、それ自体は大した問題ではなかった。より重要なのは、助手スタビンズを中心とした子供映画にしてしまったことにより、笑いの部分にも子供映画的な“わざとらしさ”が持ち込まれてしまったことである(三十郎氏はこれが非常に苦手である)。RDJはいつものように変人を演じているが、その変人ぶりを魅力的足らしめていた「皮肉」や「ひねくれ」の要素は完全に影を潜め、そこには上澄みをすくっただけの薄っぺらいキャラクターしか残っていない。そのドリトル先生は、決して三十郎氏を笑わせてはくれない。

もう一つの問題として、“冒険映画”というジャンルが存在する。ドラゴンまで登場するような世界観にあっては、“ドリトル先生だけが動物と話せる”という設定はもはや何の意味も持たず、“動物たちが普通に人語を話せる”ファンタジー映画を観ているようだった。CGで描かれる動物たちの感情表現も豊か過ぎ、これでは“動物”という感じがしない。喋れて当然のように感じられてしまう。

ドリトル先生に恨みを持つトラのバリー(レイフ・ファインズ)と気弱なゴリラのチーチー(ラミ・マレック)との対決。これは“爪の鋭さ”でトラが圧倒的に有利な気がするのだが、そういう現実的な考察は一切なさそうだった。また、最後にドラゴンを治療して果実を貰う場面でも、その原因が“腸の詰まり”であるにも関わらず、“ガラクタとオナラ”だけで茶を濁しており、清潔で面白みに欠ける本作を象徴していたように思う。アリとサソリが結婚していたり、トンボがオウムに惹かれていたりと、異種姦趣味を感じさせる描写はあったが。

ドリトル先生とリリーは世界中を旅して困っている動物たちを助けてきたとのことである。この中に“寒さに震えるシロクマにニット帽を与えてお供にする”という描写があるのだが、砂漠を連れ歩いていたりして、完全に虐待だと思った。

ドクター・ドリトル (字幕版)

ドクター・ドリトル (字幕版)

  • 発売日: 2020/09/18
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