オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『プロテクター』

The Protector, 89min

監督:ジェームズ・グリッケンハウス、ジャッキー・チェン 出演:ジャッキー・チェンダニー・アイエロ

★★

概要

ニューヨークの刑事が誘拐事件を追って香港に行く話。

短評

バトルクリーク・ブロー』に続くジャッキー・チェンのハリウッド進出第二弾。コメディ要素の極めて薄い、ハードボイルドな雰囲気の一作なのだが、ジャッキーの魅力が引き出されているとは言い難かった(後述するが、ジャッキー自身も難色を示して再撮影・再編集したらしい)。ジャッキーのハリウッドでの成功は、本作から10年後の『レッド・ブロンクス』まで待たれることになるわけか。彼も苦労したのだな。

あらすじ

アメリカに移住して10年目となる刑事のビリー(ジャッキー)。彼が警備を担当したファッションショーでデザイナーのローラが誘拐されてしまう。ローラは香港に連れ去られたものと見られ、ビリーは相棒ガローニと共に香港へ向かう。ビリーは現地を仕切る黒社会のドンであるコーからローラを取り戻すものの、逆にガローニが捕われてしまうのだった。

感想

映画の冒頭で“マッドマックス民”的なヒャッハー連中がトラック強盗を働いており、「もしかして再生する映画を間違えたかな?」と一瞬戸惑ったものの、すぐにジャッキーが出てきて安心した。彼はテキサスから来たというドライバーに「ニューヨークへようこそ」と言い放ち、この強盗事件が物語に影響を与えることはない。

続いて、ビリーと相棒マイケルが立ち寄ったバーにも強盗が現れ、マイケルが射殺されてしまう。ビリーは「相棒の敵討ち!」と上司の命令を無視して犯人を追跡し、犯人を逮捕せず殺してしまう(ボートを奪う場面で一般市民に「警察だぞ!」と銃を突きつけるし、ロクな刑事ではなかった)。その後、上司には怒られるも同僚たちから拍手されるという描写があるものの、この事件が物語に影響を与えることはない。この二件の事件などなかったかのようにローラ誘拐事件が始まり、ガローニも当然のように新相棒の座に収まっている。

そして、ようやく“本編”たる香港編。妖しげなホテルに泊まり、「スペシャルもあるよ」というマッサージ店を訪れ、ジャンボ・レストランに出向き、と香港観光要素の強い展開だが、現地協力者のホーが殺害され(「あなたのせいで父が死んだ」と怒るホーの娘スーリンに対し、ビリーが「殺したのはコーだから」と告げる場面にサイコパス感があった。ちなみにスーリン役のムーン・リーが可愛い)、映画の雰囲気に合わせたシリアス展開に。しかし、ローラ誘拐事件については、コーが「アメリカ側と不幸な行き違いがあっただけみたいだから彼女は返そう。でも二人の刑事は始末する」と発言して謎の解決を見せており、無理矢理としか言えない最終決戦へと突入するのだった。

元空手チャンピョンのベニーや中華マッチョマンとの戦いにはジャッキーらしさが出ていたが、他作品と比べて特筆すべき仕上がりではなかった。ベニーは電動ノコギリを振り回した結果、ほぼ自滅の感電死を遂げているのだが、持ち手の部分は電気を通さないだろう。

本作には二つのバージョンがあるのだとか(正確にはEDロールにNG集を追加した日本版を含めて三つ)。一つは、ジェームズ・グリッケンハウス監督によるオリジナル欧米版。もう一つは、彼に反発したジャッキーが自ら改訂を加えたアジア版。オリジナル版には“おっぱい”が出てくるそうなのだが、三十郎氏がGyao!で見たバージョンには登場しなかった。つまり、ジャッキー版ということになるはずなのだが、映画の冒頭には確かに「A JAMES GLICKENHAUS FILM」と記されている。恐らくはジャッキー版のはずだが、(見られたはずのおっぱいを見られなかったことを含めて)どうもすっきりしない。

プロテクター (字幕版)

プロテクター (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video