オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『キラーズ・セッション』

Killers Anonymous, 95min

監督:マーティン・オーウェン 出演:ゲイリー・オールドマントミー・フラナガン

概要

殺人依存症のグループセラピー。

短評

ゲイリー・オールドマンの無駄遣い。殺人依存症の面々が断酒会や断ヤク会のように集まって話し合うという設定は面白そうなのだが、まるでダメだった。本当にいいとこなしである。一応は“本編”と目されるスリラーなのかミステリーなのかよく分からない要素は壊滅的だし、互助会で語られる殺しエピソードにも魅力がない。才能もないのにタランティーノの真似をしようとしてもいけない。あれは映画界で唯一無二の“マグレ”なのだ。

あらすじ

殺人依存症患者たちが集まるグループセラピー“キラーズ・アノニマス”。ジョアンナ(マイアンナ・バーリング)やクリスタル(エリザベス・モリス)ら、いつものメンバーが顔を揃えて会は幕を開けるが、上院議員の狙撃事件により街は警察で溢れており、参加者たちも殺人者が一堂に会している事実に疑問を抱く。やがて会が進むにつれて、新入りの正体や会の裏の目的が明らかとなる。

感想

グループセラピーでは「初めての殺しはこんな感じでした」「私は医者だけど患者を殺してます」といった会話が続く。新入りアリス以外は顔馴染みのはずなのに、誰も彼もが初参加かのような内容を話すのはともかくとして(でないと観客が置き去りになるだろうし)、これがちっとも面白くない。“殺人依存症のグループセラピー”という設定自体には新規性があり、独自性ある会話劇を繰り広げられそうなものだが、なんとも“普通”である。もうちょっと何かあるだろ。“殺人依存症”だぞ。アル中患者の告白ですらもう少しドラマがある。回想シーンの演出にこだわってオシャレ感を出そうとしていたが、話の内容がつまらなければ何の意味もない。

告白が単体としての魅力を持たないのならば、参加者の告白に散りばめられたヒントがやがて全てが一つに結びつく……というような展開を期待したいところである。既にお察しかとは思うが、当然そんな工夫は存在しない。告白は告白としてつまらなく、会の真相は真相としてつまらない。疑心暗鬼の状況も生み出すのも、タネ明かしをするのも上手いとも思えず、本当に時間を無駄にしただけだった。

本当につまらないので、「一体何がしたかったのか……」と呆れてしまうが、何となく狙いは分かるような気がする。きっと脚本家(=監督)の中では殺人の告白が面白いことになっており、ちゃんと“会話劇”が成立しているつもりなのだろう。そこにワケアリたちの疑心暗鬼が加わって意外な真相が明らかとなり、最後は流血展開へ。分かるよ、タランティーノになりたかったんだよね。でもね、会話を作るセンスが絶望的に欠けているし、“普通の話”として面白くする基礎すらないのに、それは無理なんだよ。

ゲイリー・オールドマンの他に、ジェシカ・アルバスキ・ウォーターハウスも無駄遣いされている。彼女たちの使い方はオールドマン以上に酷くて、どうして本作に出演してしまったのか疑問である。ギャラが良かったのか。ゲイリー・オールドマンと共演できると言われたからなのか。映画がつまらないこと。それでもファンが観てくれること。この二つを知っていて出演するスターは罪深い(ニコラス・ケイジみたいなファンも分かっている人は除く)。

キラーズ・セッション(字幕版)

キラーズ・セッション(字幕版)

  • 発売日: 2019/08/21
  • メディア: Prime Video