Beverly Hills Cop III, 104min
監督:ジョン・ランディス 出演:エディ・マーフィー、ジャッジ・ラインホルド
★★
概要
短評
批評・興行の両面で失敗し、シリーズを終了させた第三作。二作目の時点で単なる焼き直しになっていたことを考えれば、至極当然の結果と言えよう。主人公をビバリーヒルズに向かわせる理由が過去に輪をかけて雑になり、「ビバリーヒルズで捜査すること」と「テーマパークを舞台とすること」の二つの前提ありきで強引に組み上げられたストーリーとなっている。また、主人公の“型破りぶり”も“暴れる”ことだけを目的としており、コメディが上手く機能していない。タガートが引退させられていたのも残念だったが、彼は楽しい思い出だけを残して去れたことになる。
あらすじ
盗難車の解体現場へと乗り込んだアクセル(エディ・マーフィー)。しかし、予想外の銃撃戦へと発展してしまい、トッド警部が射殺されてしまう。彼は犯人を追跡するものの、シークレットサービスの横槍が入る。それでも諦めないアクセルは、事件現場にテーマパーク“ワンダーワールド”のタオルが落ちていたことを手掛かりに、パークのあるビバリーヒルズへと向かう。
感想
仲間が撃たれ、敵討ちのためにアクセルがビバリーヒルズへ。ここまで同じ事を繰り返せば、もはやお約束というか様式美である。しかし、殺し屋が「俺たちはここにいるぞ!」と言わんがばかりにパークの備品を現場に残していくのは流石に酷すぎないか。“パークで暴れること”ありきなのはお察しだが、もう少し上手くやれないものか。
アクセルがパークが怪しいと睨んで捜査をすると、盗難車故買よりも遥かに大きな規模の事件に巻き込まれるという展開。「いくら導入部が酷くても、ここから先は“いつも通り”……」と思いきや、どうも様子が異なる。アクセルは、美人販売員(トレイシー・メルヒオール)に対してゴネるのを失敗して35ドルの入場チケットを買わされるし、犯人デウォルドとのレスバトルにも敗北する。口八丁手八丁の型破り刑事アクセル・フォーリーはどこに消えたのか。
本作のアクセルがどう型破りなのかと言えば、ただ“暴れている”というだけで、他作品とはその性質を異にしている。これでは彼の持ち味である笑いが活きてこないし、かと言ってエディ・マーフィーが華麗なアクションを披露できるわけでもない(アクションシーンは顔の見えないものが多く、スタントマンの使用が露骨である)。完全にシリーズの持ち味を殺してしまっていた。
前作ではLAPDの迷コンビが良いアクセントになっていたが、残念ながらタガートは引退。代わりにフリントという“ハゲ具合”だけが似ている刑事が登場するものの、タガートのような笑いを作品にもたらしてくれることはない。ローズウッドについても出番が少なく、昇進したはよいが部署の名前が覚えづらいというネタ以外には見所がなかったように思う。
全体的に笑える要素が激減していたものの(シリーズで唯一ストリッパーのおっぱいが出てこないし、笑い以外のサービス精神にも欠ける)、セルジュの謎武器の余計な機能は好きだった。また、トニー・スコットがシリーズが去っているのに“スタローンネタ”があったのは笑った。
ジョージ・ルーカスがカメオ出演している。パークでアトラクションの順番待ちをしているところをアクセルに抜かされて文句を言う役である。キャラクターがプリントされたスウェットがとても似合っていた。