オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ビバリーヒルズ・コップ』

Beverly Hills Cop, 105min

監督:マーティン・ブレスト 出演:エディ・マーフィー、ジャッジ・ラインホルド

★★★

概要

デトロイト市警がビバリーヒルズで殺人事件を捜査する話。

短評

かつてはテレビでよく放送されていたような気がする懐かしい一作。エディ・マーフィーの初主演作とのことである。刑事ものとしてのストーリーが特別に面白いというわけでもなく、アクションも決して凄くはないのだが、彼の話芸とキャラクターだけで楽しめてしまうのだから大したものである。いい意味で緊張感に欠けており、安心して観ていられる。テーマソングも懐かしかった。

あらすじ

独断専行の問題行動が多く、上司から目をつけられているデトロイト市警のアクセル・フォーリー(エディ・マーフィー)。彼が幼馴染のマイキーと再会した夜、マイキーが何者かに殺害されてしまう。事件の捜査を外されたアクセルは、休暇を取ってマイキーがデトロイトに来る前に住んでいたビバリーヒルズに単身乗り込む。

感想

“腕のいい問題児”というのがアクセルの謳い文句だが、冷静に考えると結構酷い刑事である。タバコの密売を(勝手に)潜入捜査して街を破壊しまくって怒られ、LAで治安妨害で逮捕されれば「俺は被害者なのに」とゴネる。予約なしのホテルでは「黒人差別か」と騒いで強引に部屋を(それもシングル価格でスイートを)確保させ、会員制クラブにはゲイを装って侵入。何をするにも超強引で、“面白黒人”と“面倒くさい黒人”という二大ジャンルが見事にミックスされた存在だった。後者の要素は一歩間違えれば不快に感じかねないところだが、エディ・マーフィーの陽気な演技が上手くカバーしていたように思う。

そもそも事件の担当じゃない上に管轄外だし、平気で身分を偽るし、令状なしで侵入する。その上、事件解決の鍵は“勘”といういい加減さである。アクセルの捜査は、はっきり言って“警察の捜査”としての体を成していない。映画のストーリーに整合性を求めるならば、これでは犯人を逮捕しても有罪に持ち込めないと不満に感じられるのだが、それが許されてしまう牧歌性に“時代”を感じる。ただし、捜査の違法性を問題化させないための手法はそれなりに筋が通っていたように思う。合法の“ストーリー”を用意し、訴える側を消してしまう。考えてみると怖いな、これ。警察権力の暴走ではないか。

アクセルの尾行を担当し(一瞬でバレる)、最終的には彼に協力することとなるローズウッドとタガートの二人。LAPDのへっぽこ刑事たちである。ローズウッドが夜食の差し入れを暢気に喜んでいる間に排気口に“バナナ”を突っ込まれたり、彼が脈略もなく“未消化の肉”について話し出したり、メイトランド邸での壁超えに苦戦する迷コンビぶりが楽しかった。[アクセル×ローズウッド]コンビが結成されるのが定番の流れなのだろうが、基本的には[タガート×ローズウッド]コンビを貫いているのも良い。やはりアクセルは“はみ出し者”なのである。警部補ボゴミルがアクセルの影響を受けて彼のような口八丁手八丁のウソを弄した際の、愚直なタガートの行動変化が面白かった。

紅一点のジェニー役リサ・アイルバッハーが美人だった。

ビバリーヒルズ・コップ (字幕版)

ビバリーヒルズ・コップ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video