オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『30デイズ・ナイト』

30 Days of Night, 112min

監督:デヴィッド・スレイド 出演:ジョシュ・ハートネット、メリッサ・ジョージ

★★★

概要

アメリカ最北の町の住民vsヴァンパイア。

短評

コミック原作のヴァンパイア・ホラー・アクション・ムービー。こうしてジャンルを並べるとB級映画っぽくなるが(実際にそうなのだが)、ホラーしつつ、アクションしつつ、スプラッター要素まであるというゴチャ混ぜな一作の割には、それぞれの要素を楽しめるように上手くまとまっていたように思う。とっても寒い季節に寒々しい舞台の映画を選んでしまったのは失敗だったと思うが、内容は悪くなかった(怖さで身が凍ることはない)。

あらすじ

アメリカ最北端の町、アラスカ州バロウ。その町は1年の内30日間は太陽が昇らない極夜となる。太陽が見られる最後の日、犬が殺される事件を皮切りに不可解な出来事が起こり、人々が何者かに襲われはじめる。保安官のエバン(ジョシュ・ハートネット)とステラ(メリッサ・ジョージ)は、数人の仲間と共に一端は屋根裏部屋に潜伏するも、事件の犯人であるヴァンパイアたちとの死闘を繰り広げることになる。

感想

本作の敵はヴァンパイアなのだが、どことなくゾンビっぽさがあった。歯が尖っていて、黒目が大きいという特徴があるものの、青白い肌がゾンビのそれである。また、知能・運動能力共に高いのだが、“食事マナー”が完全にゾンビのそれで、少なくともドラキュラ伯爵のような高貴さは一切ない。割と汚い。退治方法が「胴体と首を切り離す」というのもゾンビっぽい。ただし、ヴァンパイアのボスが「仲間は増やさなくていい。食べ終わったら首を切り離しておくように」と下っ端に指示しており、根本的な部分は異なっていた。

このゾンビのようなヴァンパイアとの戦いは、ゾンビ映画スプラッターの様相を呈することになる。首を切らなければいけないのだから当然である。戦いが血みどろの汚いものな一方で、降り積もった雪の白と流れる血液の赤とのコントラストは美しく(燃える町も綺麗)、二重のコントラストが形成されていた。エバンがヴァンパイア化したビリーの首を斧で切断する場面は、切腹介錯のように一発でスパンといくことはなく、なかなか見応えのあるグロシーンに仕上がっていた。他の戦いの描写では、“チェーンソー付き車両”が格好良かったのだが、あれは何という名称で、どんな用途に用いられるのだろう。除雪車がすっかり霞んでしまうインパクトだった。

ヴァンパイアは首を切断する他に、“紫外線ライト”を当てることで“焼却”できる。この攻撃が「ベラ・ルゴシを倒した方法」と言及されていた。先日観た『プラン9・フロム・アウタースペース』に“ヴァンパイアみたいな老人”というよく分からない役で出演していたドラキュラ俳優である。彼の代表作らしい『魔人ドラキュラ 』は1931年の映画のようだが、そんな時代に、こんな変則的な攻撃方法が確立されていたのか。

顔は綺麗に整い、小顔に高身長でスタイルが良く、声までイケボ。ジョシュ・ハートネットは問答無用のイケメンだと思うが、残念ながらアイドル俳優から脱皮できないまま年齢を重ねてしまった印象である。本作も彼も格好いいのだが、声の渋さとは対称的に演技は軽く、“美味しいところを全部持っていく主人公”というポジションだった。本作は“30日間の戦い”を描いているものの、一度も太陽が昇らないので一晩の出来事のような印象を受け、一ヶ月放置した割にまだらな生え方しかしないエバンの髭もその印象を強めていた(体質なのか。アイドルキャラを捨て切れないのか)。彼はステラとキスした直後に燃え尽きるのだが、唇についた血液からステラがヴァンパイア化する危険はなかったのだろうか。

30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ』『30デイズ・ナイト アポカリプス』という二本の続編がある。

30デイズ・ナイト (字幕版)

30デイズ・ナイト (字幕版)

  • 発売日: 2017/12/28
  • メディア: Prime Video