オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『宇宙戦争』

War of the Worlds, 116min

監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:トム・クルーズダコタ・ファニング

★★★

概要

宇宙人が地球を侵略する話。

短評

2005年のスピルバーグ版。1953年のハスキン版と比べれば、流石に迫力が段違いである。同作の感想にも書いたのだが、初見の際には拍子抜けした結末に説得力を感じられるようになったため、その時と比べて印象が大きく上向いた。しっかり者なのに臆病なダコタ・ファニングは可愛いし、視点を“一般市民”に限定したことでパニック映画としての性格も強くなっている。“ヒーロー”として活躍する場面はあるものの、トム・クルーズが特殊部隊の隊員としてエイリアンと対決しなかった点も評価したい。

あらすじ

離婚した妻(ミランダ・オットー)が帰省する週末、ロビーとレイチェル(ダコタ・ファニング)の二人の子供を預かることになったレイ(トム・クルーズ)。彼が目を覚ますと、空から何発もの稲妻が落ちてくる異常気象が発生していた。落下地点を見に行くと、地面に空いた穴から巨大なマシーンが出現し、街を破壊しはじめる。

感想

反抗期の息子から邪険にされてふて寝しちゃう程度にはダメ親父なトム・クルーズ。彼が基本的には“戦う人”ではなく“逃げる人”に徹したことにより、“何が起きているのか分からない”巨大災害のような状況が生まれている(意識したのは9.11なのだろうが)。「なんかデカくてヤバいマシンに襲われた」という事実だけが目の前にあり、全体像については出会った人からの断片的な情報に頼らざるを得ない(つまりよく分からない。噂は不安を煽るだけ)。いつものトム・クルーズであれば、自ら率先して情報を収集し、敵に立ち向かっていくのだろうが、パニック映画としてはこれで正解だったと思う(トム・クルーズの起用が正解なのかは分からないが)。

稲妻に乗って地球に飛来し、地下に埋めておいた“トライポッド”で地球人を襲う宇宙人。果たして彼らはどのような侵略プランを練っていたのだろうか。宇宙人はビームで地球人を“一人ずつ”焼き殺したり、触手で連れ去ったりする。ティム・ロビンス演じるハーランが「ウジ虫を駆除するみたいに」と表現しているように、これが“しらみつぶし”の行動であれば、あまりに効率が悪い。一人ずつ殺したって切りがない。人間から吸い取った血液を噴霧し、血管のような根を張るのは不気味でよいのだが、一体彼らは地球をどうしたかったのだろう。

仮に“人類の絶滅”を目論んでいたとすれば、あまりに非効率かつ間抜けな侵略計画と言わざるを得ない。そのカウンターとして繰り出される“微生物攻撃”こそが最も効率的な掃討作戦というのが、現実的にあり得るという意味でも、皮肉が効いているという意味でも、よく考え抜かれた結末であるような気がするのである。もっとも、宇宙人がこの点を一切考慮することなく地球にやって来たことだけは解せない。

宇宙からやって来て巨大マシーンを駆使する割には間抜けな宇宙人。隠れた人間を探査するアームは視覚情報に頼り切りというのもオールド・テクノロジーな印象を受ける。鏡に騙されるなんて犬じゃないんだから。クソデカ頭にヒョロガリボディの組み合わせで知能全振りの発達を遂げているはずなのに、これでは意味がないではないか。

レイたちが妻の家に地下室に隠れている間に飛行機が墜落するのだが、この残骸のセットが凄かった。“宇宙戦争”という視点だと、どうしてもトライポッドや宇宙人のCGに目が行きがちだが、やはり大作だけあってお金が掛かっている。B級パニック映画には絶対に真似できない圧倒的リアリティである。

「世界の行く末を見届けたいんだ」とヒーロー願望を全開にする反抗期の息子ロビー。訓練を受けていない彼が戦いに参加しても邪魔なだけなのではないかと思う。宇宙人の自滅エンドには納得しているのだが、彼が生き延びていたことには納得していない。

ところで、人類の宇宙進出計画において未知のウィルスへの対策はどうなっているのだろう。“侵略者”たる人類が本作の宇宙人と同じ目に遭う可能性だって大いにありうる。火星をテラフォームしたら未知のウィルスにやられてグェー、という映画があった気がするが何だっただろう。どちらかと言うと隕石に付着したウィルスによって地球でパニックが起こる話の方が多いように思うが、閉鎖空間だと全滅必至の絶望感がある。

宇宙戦争 (字幕版)

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  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video
 
宇宙戦争 (角川文庫)

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