オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ダーク・センス』

Dark Sense, 91min

監督:マグナス・ウェイク 出演:シェイン・オメーラ、ジム・スタージョン

概要

自分の死を予知したサイキック青年の話。

短評

能力が一定しないタイプの超能力者映画。万能かと思えばポンコツで、ポンコツかと思えば万能である。主人公がドヤ顔で自分の脳力を見せつけたかと思いきや、「もっと上手く使えよ」とツッコまずにはいられないようなドジをする。「能力の発現はランダム」という説明があったが、それではドヤ顔披露の部分の説明がつかない。設定が壊滅的に破綻しているし、物語も意味不明な行動に満ちていた。

あらすじ

未来を予知できる少年サイモン。彼は神父に迫る危機を予知するも、その言葉が神父に届くことはなく、殺人を防ぐことができなかった。それから14年後、成長したサイモンは人と関わることを避けて生活していたが、件の殺人犯に自分が襲われることを予知し、元SASのスティーブを護衛に雇う。

感想

能力の発現はランダムだから、いつ、どこで、どうやって殺されるのかは分からない。だから護衛を雇おう──この発想は理解できる。それならそういう話でよいと思うのだが、彼はスティーブを雇うために彼の“過去”を見るし、彼に証人保護を与えるべくMI5に連絡して相手の行動を言い当てたりする。分かってるじゃん。特定の相手の特定の行動を予知できてるじゃん。それなら自分の未来を見て回避行動を取れよ。

しかし、ポンコツサイキックのサイモンは、「配達で~す」と自宅にやって来た犯人を気前よく迎え入れて拉致される(この時、スティーブはサイキック能力で気絶させられている)。「自分の未来は予知できないのね」と皮肉るMI5捜査官ソニアに対してスティーブが「分かってるけど誰も耳を貸さないだけ」と擁護していたが、明らかに分かってなかっただろう。

犯人が謎の狂信的儀式でサイモンを殺そうとしているところに駆けつけるスティーブ。サイモンが2万5000ポンドも払って護衛を雇った甲斐があるというものだが、彼は犯人に倒され、サイモンが念力を発動して相手を始末する。もう何でもありかよ。

かつて自分が防げなかった殺人の犯人が、時を経て自分を殺しにくる。たったこれだけのシンプルなストーリーのはずなのに、何のためにしているのか不明なイベントが散見される。スティーブに証人保護が必要な理由もよく分からないし、サイモンが“科学的テスト”を受けに行く理由もよく分からない(ここから情報が漏れて犯人が襲いにくる)。ちなみに、このテストは“触らずに鉄の棒を曲げる”というものなのだが、サイモン曰く、「実際には曲げられない。曲げたように見せただけ」。それはそれで別の能力が必要だろう。て言うか、結局テレキネシス使えるし。

見事に犯人を退治し、その超能力研究のために多数の企業や大学からモテモテになるサイモン(きっとテストの描写は犯人を呼び寄せるのと結末のための作劇上の理由で作られたものなのだろう。MI5についても似たようなものかと思う)。その上、序盤に「卒業以来ね。久しぶり」と話しかけてくれたアリソンとイチャついてハッピーエンドである。あーアホくさ。

EDロールで「Special Thanks」欄に名前が載っている人たちの“メッセージ付き自撮り写真”が流れる。クラウドファンディングで制作費を集めたのだろうか。一体何事かと思って、本編よりも見入ってしまった。

ダーク・センス (Dark Sense)

ダーク・センス (Dark Sense)

  • 発売日: 2020/06/04
  • メディア: Prime Video