オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『セラヴィ!』

Le Sens de la fête(C'est la vie!), 115min

監督:エリック・トレダノオリヴィエ・ナカシュ 出演:ジャン=ピエール・バクリ、ジャン=ポール・ルーヴ 

★★★

概要

結婚式狂騒曲。

短評

最強のふたり』の監督が手掛けたフランスのコメディ映画。一つのイベントの成功に向けて奮闘する中で次々とトラブルが舞い込んでくるという構図やジャズを多用したBGM(特にドラムの独奏は明らかに意識しているだろう)が『バードマン』を想起させる、すなわち、三十郎氏好みの一作だった。災い転じて福となすな大団円については強引な気がしなくもないが、結婚式というものは花嫁が満足してくれさえすれば、それでよいのである。

あらすじ

17世紀に建てられた城での結婚式を控えるベテラン・ウェディングプランナーのマックス。現場代理のアデルは口が悪く独断専行気味で、スタッフは統率が取れずに揉めてばかり。バンドマンのジェームス(本名エティエンヌ)は自己主張が激しく、新郎のピエールは注文が多い。マックスの義弟ジュリアンは新婦エレナ(ジュディット・シュムラ)を口説こうとする。経験者を自称する素人のスタッフが紛れ込み、さらには社会保障費徴収機関の査察も懸念される中、結婚式の幕が上がる。

感想

基本的にはドタバタコメディである。一つ問題が片付けばまた次の問題が発生し……といった具合のゴタゴタが滑稽に描かれている群像劇になっており、主人公マックスは上を下へのてんてこ舞い。出席者もスタッフも、関係者は皆一癖も二癖もある。結婚式の運営はとっても大変なのである。

そんな問題山積の状態でも結婚式は始まるが、冷蔵庫のプラグが抜かれる怪事件によってラム肉が腐り、それを食べたスタッフが食中毒に。この対応策が面白かった。「とりあえず冷凍パイを出しておけ」というものである。パイは腹持ちが良く、また、塩辛くしておけば客は水を大量に飲むため(ヨーロッパなので炭酸水なのも効果増)、次の料理を出すまでの時間が稼げる。仕出し業界のテクニックなのだとか。

他に面白かったネタは、新郎の長すぎるスピーチに退屈したカメラマンのギイの話(スピーチの出来栄えは長さと反比例する)。彼が職業体験に来ているバスティアンに“出席者を観察する遊び”を教えていると、逆に出会系アプリの存在を教えられる事態に。この話の結末は予想通りだったが、かつて誰かが「結婚式の二次会こそが最強の合コン」と語っていたような気もするし、案外有効な戦略なのかもしれない。プチ同窓会的な会話を一通り終えた後の披露宴が退屈なことは、皆が知る通りである。

マックスはそれらのトラブルに対処しながらも結婚式を続行するが、新郎は空を飛び、花火が爆発し、会場が停電するという壊滅的な事態に。彼は「もう知らん!あとはお前らでやれ!」とスタッフに言い残して会場を立ち去ってしまう。しかし、再び会場に戻ってきた彼が目にするのは、その場にあるものを上手く使って結婚式を立派に成功させているスタッフたちだった。問題は全てを背負い込もうとする自分にこそあったのである。移民の使い方がマジカルニグロ的なところはあるものの、話をきれいにまとめていたと思う。

スマホ民が邪魔で商売にならん!」と憤るギイ。彼は親友のマックスから「ごめん、もう雇えない」と言われてしまうのだが、停電のおかげで活躍する場面が見られるのが(一眼レフユーザー的には)よかった。ロウソクの明かりだけでは光量が足りず、スマホでは綺麗に撮れまい(それでもスマホのモニターで見るだけなら十分なのだろうが)。ちなみに、彼はD810とDfの2台持ちである。頑張れ、ニコン!負けるな、ニコン

会場が17世紀のお城ということで、給仕スタッフはカツラと制服のコスプレをさせられている(カツラが臭くて「衛生基準を満たしていない」との苦情も)。コスプレには女性スタッフが鉄のスカートを履いて、そこにシャンパンタワーが飾り付けられているというものもあり、これは手にする時にニヤけてしまうだろうなと思った。

セラヴィ!(字幕版)

セラヴィ!(字幕版)

  • 発売日: 2019/11/02
  • メディア: Prime Video