オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サンズ・オブ・ザ・デッド』

It Stains the Sands Red, 92min

監督:コリン・ミニハン 出演:ブリタニー・アレン、フアン・リーディンガー

★★★

概要

砂漠でゾンビと珍道中。

短評

ほぼ主人公とゾンビが一対一なゾンビ映画。ゾンビと追いかけっこをしたり、飼い慣らしたりするユル~い展開が楽しい一作だった。ただし、珍道中モードを終えた後の終盤がまるで面白くないため、「折角面白かったのにどうしてこうなった……」という残念さが目立ってしまうのも事実である。そのまま貫き通せばよかったかとは思うが、その場合だとゴールが見えないことは認めざるを得ない。

あらすじ

タイヤが砂にハマって立ち往生してしまったモリーブリタニー・アレン)とニックのカップル。二人が困っているところに一体のゾンビが現れる。とりあえず車内に避難してゾンビが立ち去るのを待つが、ゾンビの姿が見えなくなったところで落とした携帯を取りに外へ出たニックが殺されてしまう。足の遅いゾンビから逃げるのは簡単だが、モリーがどこまで逃げてもゾンビは追い続けてくる。

感想

ゾンビはオーソドックスなゾンビである。動きが鈍く、普通に歩く速度なら余裕で逃げられる。したがって、「〇〇円もらえるけど時速〇〇kmで敵が追ってくるボタン押す?」という匿名掲示板のスレタイを体現したかのような展開となる。高台に逃げ込めばゾンビは登ってこられないので休むことだってできる。砂漠の環境は過酷だが、飲料水はある程度持っているし、食糧だってある。逃げるモリーが余裕しゃくしゃくというコミカルな逃走劇である。

「逃げるだけなら余裕」と理解したモリー。血に飢えた相手にタンポンを投げて取りに行かせたり、地面に経血を垂らしてみたり、「これが欲しいんでしょ?」とパンツを下ろして股間を見せびらかしながら、彼女は(のんびりと)歩き続ける。ゾンビのことを「ストーカー!」「この粗チン野郎!(small dickからスモールと命名)」と罵りながらも、次第に「口答えしないのだけはいい」と心を開き始め、一方的にゾンビに語りかけながらの旅となる。

そして、モリーが出会った男たちにレイプされかけているところをゾンビが助けてくれたことで、二人の関係は決定的なものとなる。それまでの“血で釣る”作戦も楽しかったが、レイプ男の腸をモグモグやっているゾンビを見つめるモリーの視線と言ったら!ちょっとした『ウォーム・ボディーズ』である。純愛か!その後、ゾンビに「ステイ」を覚えさせ(これはゾンビらしくないのでなくてもよかったと思う)、通りがかった軍人に助けを求めることもなく、逆に「隠れて!」と。そんな半異種間ロマンスをやりつつ、モリーが自分を見つめ直すという(これが回収される終盤はつまらない)、なんとも正統派なロードムービーだった(景色も綺麗だし)。ゾンビ映画としては異端だが。

しかし、モリーとゾンビとの関係の終焉は切ない。軍人に脚を撃たれて歩けなくなってしまったゾンビをモリーが運んでいたが、遂に限界を迎えてしまう。モリーは“一人の人間”と認めたゾンビをそのまま放置することができず、自分で決着をつけるのだった。なお、この時に使用する岩は非常に大きく、細腕の女性が持ち上げるのは難しいのではないかと思った。リアルだったけど作り物なのかな?

ゾンビに指を噛まれてしまったモリーが、ウィルスが体に回る前に石で患部を潰して損切りする場面がある。これが「即断」と言えるような速度ではなく(『ワールド・ウォーZ』のブラピの方が明らかに早い)、局所的に切り取っているだけなのだが、果たして血の巡る速度というのはどの程度のものなのだろう。『ゾンビサバイバルガイド』には目安を書いてなかったかな。

サンズ・オブ・ザ・デッド(字幕版)

サンズ・オブ・ザ・デッド(字幕版)

  • 発売日: 2017/10/19
  • メディア: Prime Video