オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アウトランダー』

Outlander, 115min

監督:ハワード・マケイン 出演:ジム・カヴィーゼルソフィア・マイルズ

★★★

概要

バイキング&エイリアン。

短評

カウボーイ&エイリアン』みたいな設定のSFアクション映画。同作よりも後に制作されていたならば、きっと『バイキング&エイリアン』という邦題がつけられていたに違いない。大して面白い話ではないし、エイリアンのデザインにも独創性がないし、主人公が宇宙的武器を早々にロストするので8世紀北欧とのギャップも薄い。しかし、泥臭いファンタジー映画といった趣があり、頭を空っぽにして楽しめるタイプの映画ではあったかと思う。これも一種の異世界転生ものなのだろうが、主人公がマッチョなイケメンというだけで説得力が生まれる。

あらすじ

西暦709年のノルウェーに一隻の宇宙船が墜落。中から現れたのはケイナン(ジム・カヴィーゼル)という人間だった。彼は周辺を探索中にバイキングのウルフリックに捕らえられ、その時にいた村を壊滅させた犯人ではないかと疑われる。しかし、ほどなくして彼らの村を一匹の怪物が襲う。それは「モアウェン」という名の、ケイナンが連れてきてしまったエイリアンだった。

感想

地上に降り立ったケイナンが謎のデバイスを用い、「使用言語はノルウェー語」と割り出す。しかし、バイキングもケイナンも皆英語を話しており、一体この描写は何のためにあったのかと疑問を覚えずにはいられない。これは明らかに欠点だと思うのだが、好意的に捉えれば、“その程度の映画”なのだと肩の力を抜いてくれる効果があったかと思う。「うひゃあ、ヴァイキングとエイリアンが戦ってるぜ!」とアホ面で素直に喜んでいればよいのだ。

そのヴァイキングなのだが、三十郎氏の中では彼らのイメージが「海」や「船」と密接に結びついているため、地上戦ばかりではそれほどヴァイキングっぽさを感じられなかった(おもしろ兜も被ってないし)。今いる村にこだわるのも「冒険者」や「略奪者」のイメージに合わなかった。ただし、泥臭い戦い方や豪快な飲みっぷりにはそれらしさがあり、「ヴァイキングがエイリアンと戦っている」と認識できるラインではあったかと思う。彼らの宴の催しに「戦士が持った盾の上を歩き回る」というものがあるのだが、あれは支える側の人たちの方が大変だろう。

「北欧に伝わるドラゴン伝説が、実は宇宙人が連れてきた宇宙怪物だったのです」というのが話のキモになっている。そのため、ドラゴンらしく空を飛び回るモアウェンをヴァイキングの艦隊が撃破するという展開でもよかったのではないかと思うのだが、これは予算が足りなかったか。

モアウェンと対峙すべく罠を作るシーンが楽しい。地面に穴を掘って酒か油(?)を流し込み、モアウェンが入ったところで火を放つ。爆発炎上である。しかし、モアウェンは火がついてバーニング状態になっても死なず、ケイナンらの種族による殲滅作戦を生き延びた“火に強い個体”であることが分かる。なお、作戦を立案したのはケイナンであり、彼には失敗から学んでほしかった。

アクションシーンが割と血みどろなのも泥臭くて良かった。しかし、ガナー(ロン・パールマン)らが首チョンパを食らったりする一方で、ウルフリックは胴体を咥えられても噛みちぎられる様子がない(無傷に見えるのに死ぬが)。モアウェンを罠にかける場面でも「この作戦の囮は爆発に巻き込まれるだろう」としか思えないのに無傷で、彼は相当に甘やかされていたと思う。また、モブキャラたちはその場で虐殺されていくのに、なぜかヒロインのフレイヤソフィア・マイルズ)だけは巣に“お持ち帰り”される。どうしてどの物語の怪物もヒロインにだけは手加減するのだろうか。

王ロスガー(ジョン・ハート)が死に、後継候補のウルフリックが死に、最後は“アウトランダー(よそ者)”だったケイナンが新王となる。完全に異世界転生ものの安っぽいノリなのだが、主人公が負け組オタクでないというだけで同族嫌悪せずに済むのがよい。三十郎氏は“自分のようなヒーロー”に活躍してほしいとは思わない(だってできるわけないし)。映画を観ている間くらいは格好いいヒーローに感情移入していたい。王の娘フレイヤも、彼を一目見た瞬間から「あら、イケメン」とときめいているし、全くイケメンという奴は得である。

アウトランダー(字幕版)

アウトランダー(字幕版)

  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: Prime Video