オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門』

少林門(The Hand Of Death), 96min

監督:ジョン・ウー 出演:レオン・タン、ジェームズ・ティエン

★★

概要

少林寺の裏切り者を討つ話。

短評

キャリア初期のジョン・ウー監督と、これまたキャリア初期で芸名が「陳元龍」だった(整形前の)時代のジャッキー・チェンがタッグを組んだ一作……なのだが、タイトルに「ジャッキー・チェンの~」とつけるのはいささか詐欺気味だった。ジャッキーは主人公よりもキレのある槍技を披露しているため、完全に詐欺とは言い切れないものの、やはり釣られた感は否めない。また、二丁拳銃が出てこず、白い鳩も飛ばないとなれば、ジョン・ウーらしさを見出すことも難しく、オーソドックス過ぎて特徴のないカンフー映画になっていたように思う。

あらすじ

時は清の時代。満州族以外は排斥され、長く武術界に貢献してきた少林寺もその対象だった。少林寺に学んだシー・シャオフェンは師匠を裏切り、修行者を殺すようになる。シャオフェンは八虎将という護衛隊を結成し、各地で猛威を奮うようになるが、虐殺から逃げ延びたユン・フェイが仲間と共に彼の打倒を目指す。

感想

非常にシンプルかつ定番のストーリーである。主人公が敵討ちを目指して戦い、一度は敗れるも、修業を経て仲間と共に再戦する。シャオフェンとフェイが兄弟弟子に当たるという設定が物語に活きているとも思えず、お約束の流れをこなしているだけのように思えた。それならばカンフーが凄いかと言えばそうでもなく、特に序盤の乱闘シーンなんかは完全に“もっさり”としていて、全体的にもジャッキーを基準とするとキレに欠けていたように思う。

その仲間の一人を演じているのがジャッキーである。彼は序盤に“フェイを馬車の荷台に乗せてあげる人”として登場するため、もしやこれだけのシーンで主役かのような扱いを受けている詐欺作品なのではないかと危惧されたが、その後、“兄をシャオフェンに殺された男”として再登場していた。捕われたフェイを助け出し(逆さに吊るされ、腹筋して口で縄を解いたところを下でクッションになる)、酒浸りの剣豪ライズの刀を鍛え直し、自身も槍使いとして参戦する(他のシーンがそれ程でもないため、「やっぱり俺たちのジャッキーは凄いぜ!」となる)。ジャッキー詐欺かと思われた割には意外にも獅子奮迅の活躍だった。

その剣豪ライズ。彼とシャオフェンとの因縁が、一人の娼婦を巡るもの。ライズが指名中のお気に嬢チューユエ(ジュ・チン)を、来店したシャオフェンが「俺もあの子がいい!」と我儘を言い出し、二人が戦う流れに。ライズは誤ってチューユエを刺殺してしまう。ここで一つ、珍しい点が。なんと“おっぱいあり”である。ライズがチューユエをねっとり愛撫している時に陥没気味の乳首がはっきりと映し出されている。女優の顔とセットではないのでボディダブルかとは思うが、カンフー映画におっぱいが出てくるだけで新鮮だった(と言っても、『ドラゴン危機一発』なんかにも出てくるが)。

三十郎氏にとっては「ジョン・ウー=二丁拳銃+白鳩」であるため、そうと知らなければ彼の作品だと認識できない内容だったが、スローモーションや流血の多さはそれっぽかったか。

八虎将の一人、トウ・チン役がサモ・ハン・キンポーである。当時の彼はふっくらとしているがデブというほどではなく、腹よりもやたらと白い前歯を常に出しているのが印象的だった。(顔は違うが)お馴染みのジャッキー、サモハン、ジェームズ・ティエンらに比べて、主人公フェイを演じるレオン・タンはどうにも華がなく、おまけにカンフーも大したことないという散々な事態になっていた。