オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『1917 命をかけた伝令』2

1917, 118min

監督:サム・メンデス 出演:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン

他:アカデミー賞撮影賞(ロジャー・ディーキンス)、録音賞(マーク・テイラー他)、視覚効果賞(ギョーム・ロシェロン他)

★★★★★

概要

攻撃中止命令を伝えに前線まで走る話。

感想

2018年9月にこのブログを始めて以来、2年以上に渡って“被りなし”の映画鑑賞を続けてきたのだが、プライムビデオに追加された本作はどうしてもまた観たいということで。どうしてこの縛りプレイをしていたのかは自分にも分からないものの、なんだかこれで(初めから背負ってもいない)肩の荷が下りた気がする。今後、『タイトル』の後に「2」とついていれば、当ブログでは2回目の登場ということにしようかと思う(もっとも、この仕様は『熱帯』に準じており、この時点で縛りは破れている)。

劇場鑑賞と自宅鑑賞の違いはあるものの、大体の印象は前者の記事に書いてある通りなので、「2」は書き漏れや新たに気付いたことがあればちょっとメモしておく程度の簡易版で。2回目を観たことで「何度観ても抜群に素晴らしい」という三十郎氏の傑作基準を満たしたため、今回、五つ星に格上げするものとする。

劇場鑑賞時には「大佐に手紙を渡す時は第三者を同席させろ」という言葉が嫌な伏線なのではないかと不安になったマーク・ストロング演じるスミス大尉。彼の果たしている役割の大きさに気が付いた。ブレイクが死んで愕然するスコフィールドに対し、彼は「ついてこい、命令だ」と告げる。この「命令」というのが非常に重要であるように思う。彼の命令がなければ、スコフィールドはブレイクを置き去りにして再度動き出すタイミングを見失ってしまったことだろう。

その後、車に揺られている内にスコフィールドは決意を新たにし、それまでとは違う顔つきになって、悲壮な覚悟で任務に臨む。また、伝令書を缶に仕舞う行動も車中でしっかりと行われていた。「映像だけ」と見る向きもある本作だが、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたことからも分かるように、戦争の中で一人の兵士が経験する感情が余すことなく盛り込まれているように思う。

コリン・ファース演じるエリンモア将軍が引用する「地獄、または天国へ。速き旅人は常に独り(Down to Gehenna or up to the Throne, He travels the fastest who travels alone.)」という詩は、ラドヤード・キップリングというイギリス人のものらしい(リンク先参照)。こういう引用は格好いいが、同じ状況で自分が言われるとイラつくだろう。

馬の死体に群がるハエや砲撃痕の池にいるカラスといった、コントロールできない動物・昆虫はCGなのだろうか。納屋にドイツの戦闘機が突っ込んでくるシーンも、どこがCGと実機の繋ぎ目になっているのかが気になる。ここで独軍パイロットを「楽にしてやろう」というスコフィールドに対し、助けようとして命を落とすブレイク。明らかに判断ミスではあるが、とっさの状況であれば、頭に刷り込まれた「人命第一」が顔を出すものなのかもしれない。

劇中世界への没入を促す全編ワンショット(風)撮影。完璧にコントロールされたカメラワークには改めて惚れ惚れする。また、この没入感は自宅鑑賞時にも非常に有効であり、画面から目を切るタイミングがないことがスマホを遠ざけるのに一役買ってくれる。

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Prime Video