オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『LOVE GOD』

Love God, 82min

監督:フランク・グロウ 出演:ウィル・キーナン、シャノン・バーケット

★★

概要

精神病患者と巨大寄生虫

短評

プライムビデオの紹介文に「カルトファンタジーホラー映画!」とある通り、本当に物好きのためだけのカルト映画という印象の一作(12/18日現在、IMDbの評価数が140にも満たないため、カルト映画として名を馳せているわけではないらしい)。「!」をつけて強調したくなる気持ちも分かる。一応は謎の寄生虫を中心としたストーリーがあるものの、それも無きに等しいようなものであり(あるのだとしても理解が追いつかない)、精神病患者の世界に放り込まれたかのようだった。こんなの観てたら頭がオカシクなりますよ、というのは褒めすぎか。

あらすじ

1996年、ニューヨーク州立精神病院の予算削減により3分の1の患者が強制退院させられる。強迫観念読書症候群のラルーたちは退院許可を得て新たな生活を始めるが、所長のDr.ノグチが逃してしまった巨大吸虫が市民を襲い、人々を怪獣に変貌させていた。

感想

感想を言葉にするのが難しいタイプの映画である。主人公ラルーの「強迫観念読書症候群」という時点でほとんど意味不明なのだが、これは文章を読んでは紙を破り捨てたくなる病気らしい。他に、自分のことをシヴァの妻カリだと思い込んでいる殺人症のキャスリーンや慢性悪態症のビクター、潔癖症のコニーと自制心のないヘレンの母娘。病院の看護師も“セクシャル・セラピスト”を自称する淫乱女である。彼らが“発症”している姿をひたすら描き続けているのが本作である。

ラルーは紙を破り捨て、大量のガムを買って彫像を作る。キャスリーンは男の誘いに乗って交わり、“お告げ”を受けて相手を殺害する。ヘレンは薬の影響でインポの童貞だったラルーを勃起させ、コニーは出血するまで自分の身体を娘に洗わせ続ける。彼らの奇怪な行動の数々が、超絶早口な説明モノローグと共に手ブレ満載な映像で描かれ、「果たして、今、自分は何を観せられているのだろう……」という混乱へと導かれる。それがロックのサウンドに乗せてやたらとテンポよく畳み掛けてくるものだから(一つのカットも短い)、病的意味不明の洪水状態としか言いようのない事態なのである。

そこにラブ・ゴッドなる手作り感満載の巨大寄生虫が登場するわけだが、その前に三十郎氏の頭は既に思考停止状態に陥っており、もはや「わけがわからないよ……」と呟く以外に反応する術を持たないのであった。三十郎氏は映画の中心を成すはずのこの怪物が何だったのかよく分かっていない、と正直に告白せざるを得ないだろう。

変人しか登場しない一作ではあるが、ヘレン役のシャノン・バーケットは可愛いと思った。ぱっと見は可愛らしい気もするが、やはり目は完全にイッてしまっており、彼女の自制心欠如の恩恵を受けたいと思えるのかは微妙なところである。実際に彼女のような女性がいればビビるだろうし、近付けば本当に火傷するだろう。キャスリーン役のキンベルリ・ギーも美人なのだが、彼女の肌は青い。しかも関われば殺される。

映像面ではサイケデリックな世界観が徹底されている。話が意味不明過ぎて苦手なタイプの映画ではあるのだが、色や小道具の使い方には見所があり、制作者が好き放題に暴走しているだけの駄作という印象は受けなかった。ほぼそれに近い気もするが、ある程度は狙い通りなのだろう。

Love God(字幕版)

Love God(字幕版)

  • 発売日: 2020/12/17
  • メディア: Prime Video