オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『時間回廊の殺人』

시간위의 집(House of the Disappeared), 100min

監督:イム・デウン 出演:キム・ユンジン、オクテギョン

★★★

概要

母親による一家殺害事件の真相。

短評

ベネズエラのホラー・ミステリー『マザーハウス 恐怖の使者』の韓国版リメイク。(よく覚えてはいないが)細かい箇所に違いはあったものの、当然のことながら大筋は同じである。したがって、ホラー映画としての怖さは薄れてしまうし、“驚愕の展開”にも驚きを感じることもできない。しかし、“分かった状態”で観ることによってドラマの部分に集中できることもあり、それなりには楽しめた。ただし、“知らずに”観る方が絶対に楽しめるとは思う。

あらすじ

夫と息子を殺した罪で逮捕されたミヒ(キム・ユンジン)。長期の収監を経て仮釈放された彼女が自宅に戻ると、一人の(イケメン)神父が宗教福祉局からやって来る。家族を殺した記憶などないミヒと、“あの日”に何が起きたのかを知りたい神父。二人が事件の真相を探る内に、現在と過去が錯綜する“家”の秘密が明らかとなる。

感想

「ホラー映画だと思ったていたら、感動的な結末が待ち受けるSFミステリーだった」という大まかな流れはオリジナル版と同じである。神父が登場する展開も韓国なのでそのまま踏襲している。大きく異なるのは、夫が暴れる原因が“托卵”ではないという点だろう(オリジナル版の托卵のイメージが強く残っていたのもあるが)。

ミヒにはヒョジェとジウォンの二人の息子がおり、兄ヒョジョの方は死んだ前夫との間に生まれた連れ子らしい。ヒョジェが目を離した隙にジウォンが死亡する事故が起こり、夫が「お前が死ねばよかったのに!」とキレてヒョジェを殺そうとする流れである。托卵よりも主人公に同情しやすい設定だと感じたのだが、果たしてこれは南米と東アジアの性意識の差に由来する変更点なのだろうか。奔放な南米(勝手なイメージ)では托卵くらい普通に起こりうるが、家意識の強い韓国では御法度だと。主人公に同情できると同時に、“悪役”の夫を悪く見せることにも成功していたように思う(他にも強権的だったり浮気していたりと散々)。

キリスト教の神父が出てきたかと思えば、霊感おばさん、地相鑑定師、巫女と様々なオカルト軍団が登場する。『サバハ』にも見られたカルト教団大国の面目躍如である。「千年に一度の激ヤバハウス!」とビビって退散する地相鑑定師は風水ような胡散臭い職業だったが、ダウジングのようなことには成功していたため、一応は“本物”ということになるのだろうか。

降霊会的なことをする巫女が最もオカルト感に満ちていて楽しい。部屋に塩で描いた模様が素敵だし、“大集合”する場面の恐怖と滑稽が入り混じった感覚も良い。その上、憑依中の巫女がいきなり「早く出ていけ!」という日本語を発してビックリである(発音もバッチリ)。そう、このタイムトラベルハウスには日帝統治時代の出来事が関係しているのである。もっとも、それが確認可能な最古の事件というだけで、原因については分からなかった。“あちら側”で将軍と出会っていたらどうなったのだろう。

時間回廊の殺人(字幕版)

時間回廊の殺人(字幕版)

  • 発売日: 2018/08/07
  • メディア: Prime Video