オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影』高原英理

概要

江戸時代から現代までの怪談集。

感想

著者が自身の記憶にある「怪奇を感じた話」や、江戸時代に実話として記された怪談奇談を集めて大量に紹介した一冊である。これらの収集や語り直す行為を、著者は「怪談生活」としている。怪談専門誌『幽』の連載企画を加筆訂正したものとのこと(そんな専門誌があるのか)。

たとえば、「墓荒らし」の話から始まったかと思えば「人肉薬の歴史」へと辿り着き……といった具合に関連する怪談が次々と飛び出し、現代の都市伝説的な話が“元ネタ”へと繋がる博覧強記ぶりに思わず感心させられる。これだけ「こんな話も」を連続させるとなれば、単なる知識量だけでなく、それらを体系的に整理できていることが重要となるのだろう。三十郎氏も映画で同じことができれば……と思わずにはいられないが、無理である。

“凄さ”に感心させられる一方で、期待していた“怖さ”については全くだった。本書に記された大量の怪談は、話の骨子が紹介されているだけであり、怖がる前に話が終わってしまう。著者は江戸時代の実話集を例に挙げて「実話はこのように語り過ぎず、細部の想像を読者に委ねるのが上等である」と自身の考えを述べているが、三十郎氏にはそこまでの想像力がない。奇談をそのまま受け入れられるような寛容さも持ち合わせていない。初めの内は「凄いなあ」と感心していたが、次第に「あまり面白くないなあ」と飽きてきたのも事実である。

三十郎氏も毎日映画を観ては「どういう話だったのか」を整理しようとしているが、やはり重要なのはディティールなのだな。

「石」についての話の中で、「龍生石」という水を生み出す石が登場する。これは何かで読んだことがあるような気が確かにするのだが、果たして何だっただろう。三十郎氏の脳内データベース構築の日は遠い。

怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影 (立東舎)

怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影 (立東舎)

  • 作者:高原 英理
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)