オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドリームハウス』

Dream House, 92min

監督:ジム・シェリダン 出演:ダニエル・クレイグレイチェル・ワイズ

★★

概要

新居に一家惨殺事件の過去があった話。

短評

ダニエル・クレイグレイチェル・ワイズの結婚の切っ掛けを作ったとされる一作。いわゆる“オチ”を中盤に持ってくる構成には意外性があって楽しかったのだが、その後の展開は凡庸の一言であり、ただ退屈な時間を引き伸ばしてしまっただけと言えなくもない。オチの段階では「ここからどうなるんだろう?」という期待と「ここからどう話を作るんだろう?」という不安が半々の状態だったが、完全に後者が勝ってしまった形である。

あらすじ

妻リジーレイチェル・ワイズ)と二人の娘の家族と過ごす時間を増やすため、編集者の仕事を辞めて専業作家となったウィル・エイテンテン(ダニエル・クレイグ)。新居での幸せな暮らしが待っているはずだったが、娘が何かを見たと言って怯えたり、不審者の影がチラつくようになる。また、ある夜、地下室から物音が聞こえるので行ってみると悪ガキたちが悪魔崇拝ごっこをして遊んでおり、彼らは「この家で一家皆殺し事件があった」とウィルに告げるのだった。

感想

“いわくつきの新居”と言えばホラー映画の定番中の定番ある。娘ディディもそれらしいものを見ているため、きっとそうなのだろうと思っていたら、一家惨殺事件の犯人である父ピーター・ウォードが存命であると判明し、スリラー映画っぽい雰囲気になってくる。ここからどうやって話を盛り上げるのだろうと思いきや、なんといきなり衝撃のクライマックスである。これには大変に驚いた。内容的にはありがちな“どんでん返し”ではあるものの、これを中盤に持ってくることで「あ~、いつものアレね」とならずに済む。非常に上手い構成だと感じた。

しかし、構成には意外性があるものの、逆に“それだけ”という問題が発生している。ホラーやスリラーとしては盛り上がる前にオチをつけてしまったので盛り上がり切らず、その後のミステリーやドラマも所詮は消化試合である。つまり、どちらも中途半端に終わっている。これは残念だった。中盤の展開が面白いだけに期待が高まったが、そのために“普通の話”としての面白さが毀損されており、結局は退屈な印象だけが残ってしまう。

どんでん返しをオチにしていないので、残り時間でじっくり考えると心神喪失の設定が強引な気がしなくもないのだが、銃撃によるダメージと合わせばギリギリセーフのラインか。心霊系の話だとピーターが妻と娘を成仏させる話になるのだろうが、自分の妄想に死を納得させることで事実を受け入れるという構図は面白いと思う。もっとも、この要素の掘り下げは明らかに不十分であり、オチの後の“本編”に弱さを感じる原因となっている。せめてドラマの部分だけはもう少し作り込むべきだったかと思う。それさえできていれば、真犯人についてのミステリーが雑でも我慢できる。

一般人を演じているダニエル・クレイグだが、入浴時に披露するマッチョボディだけは最強スパイであることを隠しきれていなかった。彼の「エイテンテン」という苗字が非常に珍しいため、「どの地域に由来するのだろう?」と不思議がっていたら、ちゃんと説明があった。「〇〇ソン」とか「〇〇セン」のノリで北欧系なのかとも思ったが、全然違っていた。どうりで不自然なはずである。アメリカの観客はこの苗字に対してどんな印象を持つのだろう。

ドリームハウス (字幕版)

ドリームハウス (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video