オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ガール・イン・ザ・ボックス』

Girl in the Box, 87min

監督:スティーヴン・ケンプ 出演:アディソン・ティムリン、ゼイン・ホルツ

★★

概要

ヒッチハイクしてたら拉致・監禁・洗脳される話。

短評

いかにもB級スリラーっぽいタイトルの一作なのだが、キャメロン・フッカー事件という実話を基にしている重苦しい話だった。拉致された女が洗脳され、2640日もの長期に渡って奴隷生活を送る話である。思っていたよりも真面目な映画だったのには面食らったものの、洗脳の描写があまりに雑で説得力がなく、洗脳された後の姿にも終始違和感がつきまとう結果となった。また、安っぽいB級スリラーを予想していたため、“そういう場面”が多くあるのにおっぱいが見られないのも欲求不満だった。

あらすじ

オレゴンからカリフォルニアに向けてヒッチハイク中の20才のコリーン(アディソン・ティムリン)。キャメロンとジャニース(ゼルダ・ウィリアムズ)の夫婦に拾ってもらうものの、人気のない場所に連れて行かれ、頭を箱に入れられた状態で拉致されてしまう。夫婦の家の地下室に連れて行かれたコリーンは全裸にひん剥かれてムチを打たれるが、これは長きに渡る奴隷生活の序章に過ぎなかった。

感想

拉致されてムチを打たれた後、裸のまま箱に入れられて231日。キャメロンから「怖い組織がある」「ここから出ていくととんでもないことになるぞ」「だから俺と奴隷契約しよう」と言われ、コリーン(奴隷名K)は契約書にサインさせられる。奴隷生活の幕開けである。その“怖い組織”なのだが、雑誌の記事を一つ読ませただけでコリーンが信じ込んでしまうため、「いやいや、ちょっと無理がないですか?」と。コリーンが抵抗の意思を持ちながらも表面上従っただけなら理解できるのだが、契約の後は完全に“洗脳済み”となっていた。

231日も裸で箱内生活を送るという時点で相当に過酷なはずなので、実質的に思考能力を奪われた状態だったと考えることもできるだろう。しかし、それならそれで、その過酷さを描いておかなければ心理描写に唐突感が出てしまう(憔悴感も薄かった)。その違和感は最後まで消えることがなく、壮絶な実話にしてはリアリティを感じられなかった。また、長期の奴隷生活における変化についても印象的な点は見られなかった。「気をつけ!」と言われれば服を脱いで腕を上げ、脱出のチャンスがあっても家に残る。コリーンが洗脳されたことに納得できていれば、かなりの恐怖を伴う描写になったはずなのに。

全裸にひん剥いてムチを打つとなれば、完全に性的な目的かと思われるが、キャメロンとジャニースの夫婦はかなり歪んでいる。ムチを打って興奮したキャメロンがジャニースと交わるという斬新なスタイルである。ここは猟奇犯罪者らしい変態感がほとばしっていて好きだったのだが、やがてキャメロンは普通にコリーンと交わり出す(当初は「セックスNG」という妻との約束があった)。所詮はただの男である。ピロートーク中に「お前と結婚しようかな。妻も理解してくれる」なんて言い出すし、意外にも小物感が溢れていた。なお、性欲に負けたキャメロンは妻の不興を買い、コリーン脱出の切っ掛けを作ることとなる。性欲と嫉妬という普通過ぎる要素によって異常な関係が破綻してしまうのは物足りないが、それが人間というものか。

コリーンの家族の描写には説得力があった。彼女は成人済みのため、連絡が取れなくなって警察に申し出ても捜査してもらえない。姿を消しても彼女の自由なのである。また、コリーンがキャメロンと“帰省”する場面があるのだが、「今まで何やってたんだ!」と反応せず穏やかな歓迎なのに違和感を覚えたら、「カルトにハマってるのかもしれないから怯えさせないようにしよう」という台詞があって納得した。監禁夫婦の娘アンバーの成長や実家の隣人の子供の人数で奴隷期間の長さを実感する描写も良かった。

ムチを打たれる場面ではおっぱいに影が掛かり、「気をつけ!」の場面では顔のアップか背中だけ。誰に見られているわけでもなくとも胸を必死に隠す。エロそうな設定の割には徹底しておっぱいを映さないようにしていた。そもそも三十郎がアディソン・ティムリンを知った切っ掛けが、そのおっぱいにあるため、見られないのはとても残念だった。折角いいおっぱいをしているのに。(顔も可愛いけど)三十郎にとってはおっぱいの方が本体なのに。三十郎は映画を観て気になった女優がいると、脱いでいないかチェックするという不気味な習慣を持っている。そういうサイトの関連動画に出てきたのがアディソン・ティムリンである(『カリフォルニケーション』というドラマ。配信ないのかな)。一体何の話をしているのだろう……。

先日観た『ストックホルム・ペンシルベニア』という映画と同じく、本作のサムネイルにも「Lifetime」というロゴが入っている。他にも多くの作品がプライムビデオに追加されているのだが、どうやらケーブルテレビ局らしい。低予算っぽいテレビ映画の割には手堅く仕上がっている印象なのだが、B級映画らしい分かりやすい楽しさは期待しない方がよいのだろうか。『ポルノスター -私の選んだ道-』という映画がエロくなかったら辛いな。喜んで釣られるけども。

ガール・イン・ザ・ボックス

ガール・イン・ザ・ボックス

  • メディア: Prime Video