オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『バイオハザードV リトリビューション』

Resident Evil: Retribution, 95min

監督:ポール・W・S・アンダーソン 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチシエンナ・ギロリー

★★

概要

アリスがアンブレラ社の施設から脱出する話。

短評

迷走を続けるシリーズ5作目。お世辞にも出来が良いとは言えないのに、よくシリーズを続けられるものだと感心する(映画館に足を運び続けるファンも凄い)。設定を新たに盛ってみたりなかったことにしたりと忙しいシリーズだが、もはやゾンビ映画だったことを忘れてしまいそうになるくらいには何がしたいのか分からなくなっている。ステージをクリアして脱出するという構成がゲームっぽかった。

あらすじ

仲間たちとアルカディア号を占拠したアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)だったが、ジル(シエンナ・ギロリー)率いるアンブレラ社の部隊に捕らえられてしまう。ウェスカーが送り込んだエイダ(リー・ビンビン)の手引きにより脱出を図るものの、ジルやかつての仲間たちのクローン、そしてレッド・クイーンが立ちはだかる。

感想

「やっぱり超能力はダメかな」と気付いて“なかったこと”にした前作に続き、本作でも「T-ウィルスが蔓延してもアンブレラ社は何も得しないじゃん」と気付いたらしい。二作続けての大幅な軌道修正である。ウェスカーは「人類を救うのに君の力が必要なんだ」と言い出してアリスの脱出に協力し、全てはAIのレッド・クイーンが悪いということになっている。ウィルスの漏洩を防ぐために研究所を封鎖したレッド・クイーンが、それとは逆の行動をとるのはおかしいと思うが、「AIというのは人類に反旗を翻して暴走するものと相場が決まっている」くらいのノリなのだろう。

設定はめちゃくちゃになっているが、話はシンプルだった。研究所から脱出するだけである。東京、ニューヨーク、モスクワを模したステージで戦いを繰り広げていく。これらの疑似都市は「敵対する国にシミュレーションを見せれば必ずウィルスが売れる」という理屈で作られたらしいのだが、こんなに感染力が高くて危険な代物をどこも買わないだろう。敵に使ったところで待っているのは自滅である。

ラスボスはジル率いる旧友のクローン軍団戦なのだが、中ボスとでも呼ぶべき怪獣が登場する。この怪獣が“脳みそ丸出し”なのだが、どういう理由でそんな形に進化したのだろうか。最も守るべき部分を裸の状態で晒してしまうなんて。我々男たちも睾丸を“冷やす”ために体外にぶら下げているが、一応は袋に入れて傷つくことを避けている。外気に直接当てて冷やさなければならないほど高度な情報処理を行う知能があるようには思えなかったが。

この怪獣にゾンビらしさの欠片もないように、変異を続けるT-ウィルスはゾンビらしさを喪失する一方である。モスクワステージのゾンビ兵士は武器や車を使いこなす知能を持っている。それらは「進化」という言葉で片付けてもよいのかもしれないが、「感染」という要素がほとんどなくなっていて、ただ化け物と戦っているだけになっていた。もはやゾンビ映画の面影はない。

クローン・レイン(ミシェル・ロドリゲス)戦でレントゲン的に体内をCGで描いてダメージを表現する演出が見られる。確かジェット・リーの映画ではなかったかと思うのだが、どの映画からパクったのだろう。胸部の虫型デバイスが外れて正気を取り戻したジルがアリスの味方になってくれるのだが、そんな簡単に外れるような装置を使用していた理由は何なのだろう。

虫に操られて敵となり、髪型も大きく変わってしまったジル。体のラインが出るボディスーツはエロティックなのだが、あれはよほど脚が長くない限りは短足に見えてしまうため、少々厳しい気はした。彼女やアリスが戦闘用のスーツを着込む一方で、潜入工作員のエイダだけは中華風の柄の赤ドレスである。たとえ大きくスリットが入っていると言っても動きづらいだろうに。研究所の中は空調が効いているとしても、潜入するまでのロシアの氷原では寒いだろうに。

冒頭に「逆再生」のシークエンスがある。『テネット』がどういう映像処理を施しているのかは分からないが、基本的にはこのような「逆再生」と「順再生」の映像とをコンピューター処理で合体させただけのように思えて、あまり新鮮に感じれられなかったのだと思う。

アリスが3作目のラストに続いて大量の自分のクローンを目撃するのだが、彼女はどうやって「自分がオリジナル」だという確証を得ているのだろう。

バイオハザードⅤ リトリビューション (字幕版)

バイオハザードⅤ リトリビューション (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video