オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『フォース・プラネット』

Approaching the Unknown, 90min

監督:マーク・イライジャ・ローゼンバーグ 出演:マーク・ストロングルーク・ウィルソン

★★

概要

火星に行く話。

短評

ほぼ全編がマーク・ストロングの一人芝居という一作。B級SFスリラーかと思ったら内省系の話だった。もっとも、彼があの渋い声で語りかけてくる内容は頭を完全に素通りし、「このまま眠ってもいいんだよ」と優しく誘っているようにしか聞こえなかった。宇宙船内の人工重力に引かれて落ちるまぶたをなんとか持ち上げ、目をこすりながら最後まで見たものの、睡眠導入剤としか思えない一作だった。本編終了後、EDロールの終了を待たずに即寝たことは言うまでもない。邦題は太陽からの順番か。

あらすじ

火星への移住を目指し、人類初の有人火星探査に飛び立ったウィリアム(マーク・ストロング)。彼に与えられたミッションは、火星で水を生み出すこと。片道切符の旅である。機器の不調や孤独を乗り越え、ウィリアムは火星を目指す。

感想

ウィリアムが何を話していたかは全く覚えていないので、いくつかのツッコミどころだけをメモしておこうと思う。

大前提として、「移住」を目指しているというのにウィリアム一人だけを送り込んで何ができるというのだろうか。後続船のエミリーは機器の故障で地球へと引き返していたが、こちらも一人で火星に向かっている。限界集落に移住して自給自足の生活を送るのとはわけが違う。火星をテラフォーミングしなければならないのに、帰還予定のある調査でもなく片道切符で一人を送っても何の足しにもならない。人類の命運を懸けていそうな任務を監視するヒューストンの人間も一人だけだったし(しかも指令センターでなく普通のオフィスで)、全く期待されていないのか(閉鎖環境実験オチもありうると思った)。それでも宇宙船と飛ばすのには巨額の予算が掛かるだろうに。

幾多の(寝落ちする)困難を乗り越えて、なんとか火星へと辿り着いたウィリアム。彼が火星の大地を踏みしめ、感慨深げに何かを語って終劇である。ちょっと待て。目的は「移住」ではなかったか。これでは「訪問」である。旅行に出かけて、無事に目的に着いただけで満足しているようなものである。これでは何もしていないに等しい。火星への移住という設定が根本的に破綻している。

予算不足から「人工重力」という設定を利用したのはともかくとして、ペラッペラのスーツのデザインはなんとかならなかったのだろうか。宇宙船内のディティールも褒められたものではなかったが、スーツは特に酷かった。内省系の話だというのは理解できるが、これは映画である。映像メディアである。まずは観客の目を引き付けなければ、他は何も意味を持たない。

一人ダンスしながら作業するご機嫌なマーク・ストロングや、寂しくなってやたらとエミリーに連絡しちゃうメンヘラおっさんなマーク・ストロングが見られるので(通信エラーが発生するとめっちゃ焦る)、彼が見られればそれでいいというファンなら楽しめるのかもしれない。

フォース・プラネット(字幕版)

フォース・プラネット(字幕版)

  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: Prime Video